無料のFPに相談する怖さ

まずはこちらの図をご覧ください。

これは私が作成した札幌市Kさんのあんしんマイホーム資金計画書の一部です。貯蓄残高の推移を表しているのですが、水色は貯蓄できている状態。一方、紫色は貯蓄がマイナス、つまり、家計が破たんしている状態を表します。

Kさんの貯蓄残高推移を見ると住宅購入の“直後”は問題ないものの、奥様が子どもを出産して仕事を辞める数年後には、家計が完全に赤字になり、ものの数年で貯蓄も尽きてしまう状況。

Kさんご夫婦は、ご主人の収入が札幌で考えるとかなりの高所得者で、奥様も今は正社員で働かれており、世帯収入は1,000万円を越えています。

しかし、それに比例して“支出”も多い。生活費、お小遣い、使途不明金も多い。

住居にかける費用も当然高くなり、通勤に便利な地下鉄徒歩圏エリアで、大手のハウスメーカーの家を建てるらしく住宅購入費は5,000万円を超えるそうです。

この5,000万円を超える住宅を購入しても問題ないのか?を診断しましたところ、冒頭のような診断結果となりました。

私は結論として「このままでは買ってはいけませんよ」という旨を説明した訳ですが、ここでKさんからある事を言われました。

やっぱり診断結果が全然違う…

Kさんは以前、その大手ハウスメーカーが提携するファイナンシャルプランナーに購入できるか?のシミュレーションを作成してもらったそうです。

当然「無料」での相談。

結果は私の診断とは真逆だったそうで、そのファイナンシャルプランナーにKさんはこんなことを言われたそうです。

「全然問題なしですよ!」

「5,000万でも1億でも2億でも買えます」

「私なら1億円の家にしますよ!」

どうやったらそんなシミュレーションになるのかが私には到底理解できませんが、実はこういったシミュレーションは作る側の意図で“どんなふうにでも”未来を変えることができます。

例えば、

  • 収入の推移を楽観的に考える
  • 生活費を著しく少なく見積もる
  • 住宅のメンテナンス費用を含まない
  • 老後にかかるお金を減らす

など、シミュレーションをする側の思惑で本当にどうにでもなるのです。

ちなみに私がシミュレーションを作る時は、初回の面談時に上記の内容をお客様とすり合わせした上で作成します。現在の生活水準のまま住宅購入をするのは難しいことが明確なのに、1億円の家でも買って良いという回答は信じられません。

当然、Kさんも胡散臭いと感じたようで私のところへ相談に来たそうですが、こんなことをしている人がいると思うと本当に腹立たしくて仕方ありませんね。

無料で有益な情報は得られない

結局、無料相談には限界があります。

『なぜ、無料で相談に乗れるのか?』を考えた時に、この手のFPは・・・

●無料で相談に乗り、そこから生命保険や他の金融商品の契約に結び付けたい

●ハウスメーカーから報酬を得ており、ハウスメーカーが有利になるような相談結果に仕向ける約束をしている

今回の場合は明らかに後者だと推測され、完全に裏で『癒着』しているでしょうね。

ハウスメーカーの営業マンから「できるだけ高い金額の家を売りたいからいつも通り、上手くやってね」みたいな感じで言われているのでしょう。

そのFPにとってお客様は『これから家を買う人たち』ではなく、『お金を払ってくれるハウスメーカー』ですから、当然お客様(ハウスメーカー)が有利な結果にしようとします。

無料相談をして大きな損をする

確かに有料よりも無料の方が嬉しい。気持ちはわかりますよ。私だって、できることなら何事にも“極力お金を払いたくない派”でした。

ただ、ここ数年は考え方がガラッと変わり、「無料サービスの引き換えに失うもの」を徹底的に考えるようになりました。また、たとえ有料だったとしても、支払った金額以上のリターンが得れるなら喜んでお金を払うということを覚えました。

先の例で話をすると、

●相談料は無料、しかし許容範囲以上の高額な家を購入することになった→つまり数千万円の損失の可能性

●10万円の有料相談をしたが、その結果、無駄な資金を住宅購入に充てずに済み、結果、100万円以上のリターンを得た

これなら喜んで10万円払いますっていうことですね。

あなたならどちらが良いですか?

正直なことを言えない世の中

ちなみに、私はハウスメーカーからの診断依頼は受けていません。

正直にお客さんに伝えたいことを正直に伝えられなくなるからですね。

さらに、今回のKさんのように既にハウスメーカーと打合せをしており、「この金額、買えますか?」という相談にも基本的に乗れません。

理由は色々あるものの、

『お客様に正直に買ってはいけませんと伝えたらハウスメーカーから営業妨害だとクレームを入れられたことがある』

『お客様も実際には「買えますよ」と言ってほしくて相談に来ている方が多く、それを否定して「買うのをやめた方が良い」と真実を伝えるの莫大なエネルギーを使う』

この二つが大きな理由です。

開業1年目は社会貢献的な意味合いもあり、こういったお客様の診断も受けていました。

しかし、やっていくうちに上記のようなハウスメーカーからのクレームを入れられ、正直に「その予算は無理」と伝えた方には不愉快マックスな対応をされ、自分自身、疲れてしまいました。

そんなクレームを入れられたり、不愉快な対応をされるくらいなら、既に話が進んでいる方の相談は受けないことにしようと決めたわけです。

※ちなみにKさんは私のお客様からのご紹介でどうしてもということでしたので引き受けさせていただきました。

まずは適正な予算の診断から

HPにも記載していますが、やはり住宅購入を考えた時に

①土地を探し

②住宅会社を探し

③資金計画をする

という順序で進めている方が多いです。しかし、正しい順序は逆でして、

①適正な住宅購入予算を見極め

②その中で建てられる家

③予算に合う土地を探す

これが正しい順序になります。

この順序を守ることができれば、家づくりの途中で資金的な不安に襲われることもなくなり、結果として楽しく家づくりを進めていくことができます。

新居での生活がスタートしても不安のない暮らしができるでしょう。

多くの方が抱えている問題は『お金』です。

この問題を本当にクリアできれば、家づくりも日々の生活も、より楽しいものにしていけるのではないかと私は思います。