間取りを考える時に注意したい『コト』

From:新松尊英@札幌住まいのFP相談窓口

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対面型のオープンキッチン

シューズクローゼット

パソコンカウンター

ウォークインクローゼット・・・

 

これらは、注文住宅を建てる人の

9割以上』が要望されている項目です。

 

実際に僕も500組以上の方に、

「どんな要望がありますか?」

と、聞いてきましたが・・・

 

初期段階の要望でこれらの項目は、

『ほぼ100%』入っています。

 

その他にも、

 

「回遊式の水回りの動線を作りたい!」

「リビングの横に小さな客間を作りたい!」

「子どもの部屋にロフトを作りたい!」

「スキップフロア、中二階を作りたい!」

 

と、いった要望が非常に多いですね。

 

 

【なぜ、これらの要望が多いのか?】

 

その理由は簡単で、

『今の家(現実)にない!』そして

『モデルハウス(夢)にある!』からです。

 

今の生活で叶えられないことが、

憧れのモデルハウスでは叶えられる。

 

「カッコいい!」「オシャレ!」

「便利そう!」「楽しそう!」

 

お客様のテンションをあげるように

モデルハウスは作られていますからね。

 

その結果、多くの方がマイホームに対して

多くの夢や希望を描いてしまうのです。

 

その為、これらの要望については、

どの建築会社でも対応することが

できるようになっています。

 

「うちの会社ではできません!」

なんて言ってしまうと、みすみすお客様を

手放すことになってしまいますからね。

 

あなたが

「ウォークインクローゼットが欲しい!」

と言えば、営業マンは

「はい!作成する間取りに入れておきます!」

と、ふたつ返事です。

 

企業はできる限り、お客様のニーズには

全力で応えたいと思うものです。

(契約を取る為にも大切ですからね…)

 

さて・・・

 

実は、ここでとても注意してほしいことが

あります。

 

これは、家を売るプロでも忘れがちに

なってしまう為、買うあなた自身に注意が

必要になります。

 

一旦、冷静になってこのことを考え直して

みてください。

 

シューズクローゼット

回遊式のキッチン、水まわり

子ども部屋のロフト・・・

 

数多くの要望があると思いますが・・・

 

『それら、本当に必要ですか??』

 

 

【作る『コト』が目的になっている?】

 

想像してみてください。

 

あなたは友達が新築した家に遊びに行く

ことになりました。

 

素敵な外観、真新しい家の匂い、大きな

吹き抜け、広いキッチン・・・

 

素敵な空間がそこには広がっています。

 

そしてあなたは、

 

たくさんの靴やコートを収納することが

できる『シューズクローゼット』という

モノの存在を知ります。

 

「すごい素敵!うらやましい!」

 

と思い、自分も建てる時には、

「必ずシューズクローゼットを作りたい!」

と理想を描きます。

 

・・・

 

時間が経ち、あなたもようやく家を建てる

タイミングがやってきました。

 

土地を見つけ、気に入った建築会社の

設計士さんに要望を伝え、間取りを考えて

もらいます。

 

もちろんシューズクローゼットを作りたい

とオーダーします。

 

そして、出来上がってきたプランには

もちろん、シューズクローゼットがある!

 

良かったですね!念願叶って・・・

 

・・・・・・

 

さて、ここで冷静になり考えてほしいのは

『そのシューズクローゼットで叶えたい

あなたの目的は達成できそうですか?』

と、いうことです。

 

???

 

よく考えてみてください。

 

あなたは、シューズクローゼットという

『モノ』が欲しいのでしょうか?

 

それとも、シューズクローゼットを作る

ことで、

 

・たくさん靴を入れられる

・雪で濡れた上着を室内にいれることなく

 乾かすことができる

・家族の散らかっている靴を来客者に

 見られないようにできる玄関

 

こういった要望を叶えたいのでしょうか?

 

きっと後者のはずです。

 

 

【要望はモノではなく、コトが重要】

 

シューズクローゼットという『モノ』が

欲しい訳ではなく、シューズクローゼット

を作ることで叶えられる『コト』が欲しい。

 

初めての家づくりをするにあたって、

営業マンや設計士に家の要望を伝える時、

どうしても欲しい『モノ』を伝えてしまう

傾向にあります。例えば・・・

 

・ウォークインクローゼットが欲しい

・オープンキッチンにしたい

・書斎が欲しい

 

こんな感じです。

 

同様に、営業マンや設計士も必要な『モノ』

を聞いてしまう傾向にあります。

 

その為、とりあえず欲しい『モノ』が

入っているだけの間取りになっている。

 

たくさんの靴やコートを収納したくて

シューズクローゼットを作ったけど・・・

 

・持っている靴に対し、収納量が足りない

・家族の靴だけ隠せるような玄関にした

 かったが、来客からも見える設計…

・下駄箱を作った方が収納量多かった…

 

こんなことになってしまったり・・・

さらに、

 

家事が便利になると思って、回遊式の

アイランドキッチンにしてもらったが・・・

 

・ただキッチンの周りを回れるだけで、

 家事が便利な動線とは言えない…

・逆に回遊式のキッチンにすることで家の

 面積が大きくなり、掃除が大変になった

 

このようなプランになっていることが

とても多いですね。

 

この点に注意しないと、図面作成時は

とても満足できるかもしれませんが、

実生活をしていく上で、とても不満が残る

家になってしまう可能性が高まります。

 

これは住宅業界に長くいる営業マンや

設計士も忘れがちなことなので、

とても注意が必要です。

 

その図面の上にあるあなたの要望は、

『モノ』を満たしているだけなのか?

 

それとも、あなたが暮らしていきたい生活

スタイル=『コト』が満たされているのか?

 

この差はとても大きいですから、間取りを

作ってもらう時には注意してくださいね。

 

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。