こんな間取り、絶対にイヤ!

From:新松尊英@札幌住まいのFP相談窓口

OPP_0001rr00

 

「リビングは、道路からの目線が気に

ならない位置に配置しています」

 

「キッチンから脱衣室までの距離を短くし、

家事がしやすい設計になっています」

 

「子供の部屋は、朝日が入る東側に窓を

付け、自然と目覚めるようにしました」

 

これは、あるお客様がハウスメーカーと

間取りの打合せをしているときに

説明された内容です。

 

お客様からこの話を聞いていたとき、

「割と細やかな設計を心がけてるなー」

と、素直に思いました。

 

僕は正直なところ、ハウスメーカーの設計

についてはあまり良い印象がありません。

 

理由は、今まで建てた家の間取りをそのま

ま使い廻している印象が強いので…。

 

ただ、このプランはなかなかやるなぁ!

と思い、僕もそのお客さんに

 

「なかなか良いじゃないですか!?」

とお話ししたのですが、その方は・・・

 

『全然ですよ!!!

え?何言ってるの??って感じです!』

 

と言うんですね。

ちょっと怒り気味?呆れ顔??

 

さて、なんでこんなにもこの方は満足

されていないのでしょうか?

 

その理由は・・・

「車を停めることができないから」

だそうです。

 

 

【現地を見ずに設計をする設計士】

 

これだけ聞いてはよくわかりませんよね。

 

実はこの土地、敷地の前に電柱があり、

その間取図通り、車を駐車しようとすると

電柱が邪魔して駐車できないそうです。

 

その方は間取り図を見せてもらってすぐに

そのことに気づいたので、後の説明なんて

聞く耳持たず状態だったそうです。

 

「全然考えられていないんです・・・」

と、お客様が呆れているところ、

「やっぱりハウスメーカーでプランすると、

こうなってしまうんだな・・・」

と、僕は思ってしまいました。

 

すべてのハウスメーカーがそうだとは

いいませんが、多くの場合、ハウスメー

カーの設計士さんは「現地を見ない」で

設計をします。

 

グーグルマップで周辺状況を見ていれば

まだマシな方で、中には「土地の測量図」

だけを参考にプランを描く人もいる程です。

 

何故、そんなことをするのでしょうか?

 

 

【土地を見ている場合じゃない!】

 

大手のハウスメーカーの人員配分に

ついてお話しをすると、

 

「営業5人:設計1人」

 

こんな人員配分です。

 

週末、営業マン5人全員がプラン依頼を

された場合、月曜から金曜まで毎日

1つずつプランを作成してもギリギリ

ですよね。

 

1つのプランをゼロから作成する場合、

11つプランを作成することは、

実はとてもハードルの高いことです。

 

そうすると、とてもではありませんが

11つ、土地を見に行く時間なんて

ないのですね。

 

11件プランを描くことすら難しいので、

最悪の場合、今まで建てた家の図面の中

から要望に近いプランを引っ張り出して、

「あなたの為に描きました」

と、言っていることも少なくありません。

 

せっかく建てる家なら、あなただけの為に

しっかりと図面を書いてほしいですよね。

 

さて、ではどうすれば

「しっかりとしたプランを描いてくれる」

会社を見極められるのでしょうか?

 

 

【しっかりと図面を書ける設計士とは?】

 

それを見極める為には、設計士がプランを

描くことに没頭できる会社なのか?を

見極めることが重要です。

 

営業マンの割合に対し、設計の数が多い

会社の方が、その環境を作りやすいです。

 

極端な話、営業マン1人に対し、設計士が

1人いるような会社だと理想です。

 

また、最近では「営業マンがいない」会社

も出てきました。

 

設計士を多く採用し、設計士に営業も兼務

させるというパターンの会社です。

 

全員が設計士の資格を持っているので、

お客さんとお話しをしながら、

「こういったプランを提案しよう!」

と、自己解決できてしまう。

 

もうここまでくると、11件、心を込め

た設計をしてくれますし、プランの使いま

わしなんてしないレベルになりますね。

 

 

【もう1つ、設計士が頑張れない理由】

 

せっかく建てる注文住宅ですから、あなた

の生活や土地に合わせたプランを作成して

もらいたいですよね。

 

・日差しはしっかり入るが、プライバシー

 にも配慮された間取り

・あなたに合った適切な収納スペース確保

・雪かきをできるだけしなくてよい設計

 

しかし…このようなあなただけのプランを

作成してくれる会社は、建築会社全体の

50%以下」です。

 

なぜならば・・・

大手の会社ほど、社内規定が非常に厳しく、

自由に間取りを作成できないからです。

 

例えば、

・効率よく家を建てられるように複雑な

 形の間取りを作ってはいけない

・天井の高さや窓の大きさに社内的な

 制限がある

・プランは必ず5日間で仕上げなさい…

 

こういった理由から、設計士は自由にプラ

ンを作成したくても、社内規定がある為、

それができないという状況になっています。

 

大手の会社ほど、

・いかにして家を売るか?

・いかにして効率的に家を建てて行くか?

 

このような感覚で家を売っていますから、

あなたの家だけを特にこだわりを持って

つくることができません。

 

家は売るものではなく、建てるもの!

僕はそう思っているのですが、世の中は

なかなかシビアですね。

 

あなたがもし、使いやすい、理にかなった

間取りを作ってほしいと考えているなら、

この点に注意して会社を選定することを

お勧めします。

 

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。