From:新松尊英@札幌住まいのFP相談窓口
『今は変動金利を選ぶ人がほとんどです』
って聞くんですが、実際どうなんですか?
・・・・・・
これは住宅ローンの借り方を悩まれている
あるお客様から頂いた質問です。
私はあんしんマイホーム資金計画書という
適正な予算の診断サービスを行っているの
ですが、この資金計画を立てる時には必ず、
固定金利を使いシミュレーションをします。
なぜなら、変動金利では将来の予測が
全く見えないからですね。
シミュレーションができません・・・。
この時もいつも通り、固定金利で
シミュレーションをしたのですが、
その時に出たこの質問。
『今は変動金利を選ぶ人がほとんどです!』
って銀行員や住宅の営業マンからよく
聞くんですが、実際どうなんですか?
見出し
多種多様な住宅ローン
住宅ローンの種類は、全国で4,000種類と
言われており、色々な銀行に多様な種類の
住宅ローン商品があります。
1つの金融機関に1つの住宅ローンという
訳でもなく、色々な商品の中から選ぶこと
ができます。
北洋銀行や北海道銀行でも、それぞれ金利
タイプは3~4種類くらいありますからね。
選択肢はたくさんある訳です。
とりあえず本題に入る前に事前知識として、
金利のタイプを確認しておきましょう。
代表的なものは
『変動』『全期間固定』『固定期間選択型』
の3つです。
3つとも内容は『文字通り』なのですが、
変動金利とは、将来に渡って金利が確定
しておらず、経済情勢等の影響を受け、
金利が上がる可能性があるものを言います。
例えば、
現在の金利は0.60%だが5年後には0.70%、
場合によっては1%以上、いや、5%以上も
あがる可能性があるタイプを言います。
逆に固定金利とは、将来に渡って金利が
確定(固定)されている金利タイプのもの
を言います。
現在の金利が1.60%で35年固定であれば、
世の中の金利が3%や5%など、どれだけ
上がろうと、その人の金利は1.60%のまま
変わらない金利タイプです。
そして固定期間選択型とは、
上記の二つのタイプの間を取ったものです。
『3年間は0.70%をお約束します』
『10年間は1.05%をお約束します』
といった形で期間限定で固定金利となり、
その期間が終了すると変動金利に移行する
仕組みになっているものですね。
・・・・・・
さて・・・
その中から自分に合ったベストだと思う
商品を選ぶ訳ですが、多くの人が
『変動金利』で借りているという噂!?
これについて結論から言うと・・・
『多くの方が変動金利を選んでいる』
でしょうね。
変動金利を選ぶ理由とは?
正確に言えば、
『変動金利』または『固定期間選択型』
を選んでいます。
将来の金利が確定しておらず、
『もし、金利上がったらどうするの?』
と、私は思ってしまうのですが・・・
それでもおそらく70%以上の人が
変動、固定期間選択型を選んでいます。
なぜか??
一つ目の理由は、単純に金利が低いから。
同じ3,000万円を35年で組んだとしても
月々の支払い額には大きな違いが生じます。
変動金利0.7%なら、月々80,556円。
固定金利1.6%なら、月々93,331円。
その差は『12,775円』ですからね。
支払額がこれだけ違えば、変動金利は安く
見えますし、逆に言えば固定金利が高く
見えてしまうのです。
その結果、
「きっと、金利は上がらないよね・・・」
と、自己暗示をかけ変動金利で借りること
に対して肯定してしまうのでしょうね。
そして、2つ目の理由として、お金のプロ
(と、思われている人)がお薦めしてくる
からです。
ここでいうお金のプロとは、
住宅に関するお金のプロと思われている
住宅営業マン、そして銀行員を指します。
※この人達は住宅購入におけるお金のプロ
ではありませんから、注意が必要です。
これらの方々は、大半が変動金利をお薦め
してきますね。
なぜでしょう?
その理由をさらに説明しますね。
住宅営業マンが薦める理由
これは単純に家を売りやすいからです。
上記でもお伝えした通り、同じ3,000万円、
35年ローンだったとしても、金利の組み方
次第で支払額が『13,000円』も変わります。
金額が少ない方がモノは売りやすくなりま
すし、今の家賃と比較をして、
「現在の家賃と変わりませんよ~」
「それならマイホームを買ってしまった方
が良くないですか?」
と、営業をかけてくる訳です。
その際に、将来の金利上昇リスクを細かく
説明してくる営業マンは非常に稀でしょう。
ちなみにですが・・・
住宅会社は仮に将来、金利が上がり、
あなたが住宅ローンの支払いができなく
なったとしても全く痛くありません。
住宅会社は家が完成した時に、銀行から
一括で建物金額をもらっている為、
その後のローン支払いがどうなろうと
全く関係ないのです。
彼らの仕事は家を売ることで、将来に渡り
安定した返済計画ができるかどうかは
一切関係ありません。
『売りやすい』売り方を優先するんですね。
銀行員が薦める理由
続いて銀行員はなぜ、変動金利をお薦め
してくるのか?ですね。
一見すると、変動金利0.7%で借りさせる
よりも、固定金利1.6%で借りてもらった
方が利息をたくさん取れそうですよね?
なぜ、銀行の利益となる利息が少なくなる
変動金利をお薦めするのか?
その理由は、
『銀行にも将来の金利上昇が予想できない』
からです。
もし将来、現在よりも3%以上も金利が
上がる世の中が訪れたとした場合、
固定金利1.6%を選択させたお客様からは
それ以上に金利を取ることができません。
しかし、変動金利の場合、金利が上がった
場合、お客様の金利を引き上げればその分、
利益を多く確保することができます。
銀行からすると目先の変動金利は収益に
なりづらいですが、住宅ローンは35年も
続きますから、将来の情勢に柔軟に対応で
きる金利タイプの商品を売りたがる傾向に
あるようです。
ちなみに・・・
これは実際にある金融機関の知人に聞いた
情報ですが、その銀行では「固定金利」の
商品を売ったとしても、営業成績に加味
されないようですよ。
そのくらいその金融機関内部では
『変動金利』を売りたいということです。
・・・・・・
このように住宅購入する際に関わる人には
『変動金利』を強くプッシュしたがる人が
多いという事です。
もちろん変動金利自体を否定するつもりは
ありませんし、私も変動金利をお薦めする
場合もあります。
ただ、これは金利上昇リスクをしっかりと
理解し、実際に金利が上昇した場合には
どのような対策を取れば良いのかをお客様
自身が理解した上で選択してもらいます。
間違っても
「変動金利はきっと上がりませんよ」
なんて言葉は信用してはいけません。
気をつけてくださいね。
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保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。