From:新松尊英@札幌住まいのFP相談窓口
「うちの会社は値引きはしてません」
これは僕がある広告会社さんとの
打合せで言われたことです。
広告の掲載料がいくら必要なのか?を
打合せする為に会社へ伺ったのですが、
見積書の提示と同時にこの一言。
提示された金額は言えませんが、
初めてお願いする僕からすると、
「思ったより高いな~」
と、いった印象を受けました。
モヤモヤしていても話が進まないので、
「もう少しだけ安くなりませんか?」
と、僕が切り出すとこう答えてくれました。
「値引きをしていない他のお客様に対し、
申し訳ないので、それはできません」
また、このようにも答えてくれました。
「会社が運営していく為の『適正価格』で
ご提示していますので、これが限界です」
さて・・・
結果、僕はこの広告会社にお願いする
ことにしたでしょうか?
結論から言うと…
この会社にお願いすることにしました。
理由は、
「相手が言っていることが正しい」
と思えたからです。
色々と調べた結果、
・その金額が妥当、むしろ比較的安いと
理解できたこと
・他の広告よりも内容が良いと思えたこと
・担当者の方が真摯に取り組んでくれると
信頼できたこと
このことからお願いすることにしたのです。
実は他の会社では、
「あちらが○○円なら、うちはそれよりも
安くすることをお約束しますよ」
とご提案されたのですが・・・
駆け引きされているようで嫌でしたし、
その後の仕事内容にも不安を感じました。
本当にしっかりやってくれるのかな?と。
結局、「お金勝負」だけで契約を取ろうと
していることに不安を感じたのです。
・・・・・・
本来、「値引きをしますよ!」は、
嬉しいことですよね。
できるだけ安くしてくれた方が、
こちらとしても助かる。
しかし・・・
場合によっては「値引きする」ことが
必ずしも親切になるとは限りません。
また、その逆に「値引きしません」は、
本当に不親切なのでしょうか??
【「値引きをしません」は不親切?】
こと住宅購入についてお話ししますが、
家を買うときに「値引きできません」と
いう会社は本当に不親切でしょうか?
先日、あるお客様が僕にこんなエピソード
を教えてくれました。
「先日、○○ホームと契約したんです。
値引きしない会社だって聞いていました。
なんとか15万円引いてもらったんです
けど、それを友達に言ったら…
友達:大手のハウスメーカーならもっと
値引きしてくれるよ。うちは建てるとき、
150万値切った。その会社、不親切だね。
って言われちゃいました。それを聞いたら
もっと値下げしてもらえば良かったって
悔しくて眠れないんです…」
・・・・・・
この話を聞いて率直に思ったのは、
友達にそんなこと言われてかわいそう…
と、いう感情でした…
かわいそうだったので、すぐさま
「それ、ウソですよ。●●さんが契約した
金額が適正ですから安心してくださいね。
むしろお友達の家の方が・・・」
と、お伝えしました。
しかし、業界のことがわかっていないと、
こう思ってしまうと思います。
一見、「値引きしません」は不親切のように
思えるのですが、これは全くの間違いです。
おかしいと思いませんか?
2,000万円、3,000万円する商品に対し、
5%~10%の値引きなら、金額は
150万円~300万円の値引きとなります。
商品価格が大きいので、麻痺してしまう
かもしれませんが、200万円の値引きを
言い換えると・・・
「家を建ててくれたら・・・
トヨタの新型プリウス、プレゼントします」
というようなものです。
家を買ったら、タダで新車で付いてくる…
ありえませんよね?
なので通常、100万円、200万円単位の
値引きなんて簡単にはできません。
むしろ値引きができるカラクリがある事に
不信感を持たないといけないのです。
では、業界の内部でどのようなカラクリで
値引きがされているかを教えますね。
【値引きのカラクリ】
1.そもそも適正価格ではない
そもそも値引きする前の金額が適正価格
ではない可能性が非常に高いです。
コーラやティッシュペーパーなどは、
ある程度「適正価格」がわかりますよね。
コーラなら自動販売機で買うなら130円、
ティッシュは5箱で300円前後。
しかし、住宅購入や結婚式場などの商品は
そもそもの通常価格や適正価格が見えづら
い商品です。
なので、本来2,000万円の家を2,200万円
に設定し、「200万円値引きします!」
と、言っても気づきません。
こういったお得感を演出する為に、
初めは適正金額に設定していないことが
非常に多いです。
もし値引きしてくる会社があり、その会社
を検討するなら、
「値引きされた後の金額」
に対して価値を感じるかどうか、
を判断するようにしてみてください。
2.下請け業者への支払い金額を減らす
業界では「下請け業者を叩く」といわれる
方法です。
これは例えば、基礎を作ってもらう会社に
「200万かかる工事を180万円でやって」
と支払い金額を下げる交渉をすることを
言います。
お客様からもらえる金額が減ったから
業者に払える金額も少なくなっちゃう。
協力してよ!ということです。
上記の例は、まだかわいい金額の
部類に入りますが…
えげつない金額で下請け会社に仕事を
させる会社もあります。
さて、そうするとどうなるでしょうか?
下請け業者さんは本来、200万円工事費を
もらえるハズが、例えば150万円でやれ!
と言われたら…
残念ながら、人は仕事が雑になるんです。
実際に下請け業者の社長にお話しを聞く
機会もありましたが、
「あの会社の仕事はやってられないよ」
「さんざん、金額叩かれて・・・」
「早く終わらせて、次の仕事探さないと」
このように言っていました。
人間は思った以上に、素直な生き物です。
お金が絡むと、その傾向が強くなります。
皆さんそれぞれ、生活がありますからね。
でももし、値引きをしたことで、結果的に
あなたの家が手抜き工事をされていたら…
知らない所で悪い部材を使われていたら…
こう考えると、値引き=親切なものとは
言えなくなりますよね。
【住宅業界、本当の中身は見えていない】
僕は住宅業界で働いていた人間ですから、
こういった内部事情についても精通して
いますし、お伝えすることもできます。
ただ、この内容以外にも住宅業界は中が
見えないブラックボックスになっています。
適正価格、利益率、施工性能の良し悪し、
営業マンの質、おすすめしない会社…
このあたりについてもこれからどんどん
お役立ち情報を公開していこうと思います。
失敗しない家づくりをしないように、
注意して読んでみてくださいね。
保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。