【徹底分析】ハウスメーカーのメリット・デメリットをわかりやすく解説

「ハウスメーカーの家ってどうなんだろう?」

マイホーム、特に注文住宅を建てようと考えている人は「どこの会社で家を建てたら良いだろう?」と悩むこともあるでしょう。

YouTubeやネットを見ると『ハウスメーカーは利益率が高い(余計なコストがかかっている)ので、工務店がオススメ』と、ややハウスメーカー否定派が多いようにも感じます。

デザイン性や細かな要望を聞いてくれるという点でも工務店の方がハウスメーカーよりも小回りが効くことが多いのも確かです。

しかし『ハウスメーカーは絶対にダメ。工務店の方が圧倒的に優れている』ということではありません。

結局は家を建てる過程で『何を大切にし、何を重要視しないか?』次第でベストな選択は異なります。

ハウスメーカーで家を建てるメリットもたくさんあるのです。

ということで今回の記事では、ハウスメーカーのメリットを徹底的に深掘りしていこうと思います。

※ちなみにハウスメーカーのメリットは、言いかえると工務店のデメリットとなる傾向にありますから、その点にも注意して読んでみると良いでしょう。

① ブランド・信用力

  • 住友林業
  • ミサワホーム
  • 積水ハウス
  • ダイワハウス
  • 一条工務店
  • 三井ホーム

主要な大手ハウスメーカーを挙げてみました。

どうでしょう?おそらくほとんどの会社名を聞いたことがあるのではないでしょうか。

ハウスメーカーは多くのお金をかけてCMや雑誌、SNS広告を出しており、まだ家を建ててない人にも認知度が高いです。

例えばあなたが家を建てて、友人が遊びにきた時に「どこの会社で建てたの?」と聞かれたとします。

あなたが「ミサワホームだよ」答えたら、友人も「あ、ミサワホームなんだね!」となるでしょう。

「知らない会社だけど、大丈夫なの?」とはならないと思います。

こういった認知度は『ブランド力・信用力』と言いかえることができるでしょう。

「家のことはよくわからないけど、このハウスメーカーで建てておけば間違いないでだろう」という考えも、信用力があってこそです。

ハウスメーカーで家を建てることは、ブランド物のバッグや財布を持つ感覚に近いかもしれません。

商品そのものの価値も当然ありますが、ブランド名やロゴマークがつくことで、一気に価値が高くなるというイメージです。

② 倒産のリスクが低い

全国規模のハウスメーカーは、設立10年未満の工務店と比べ、倒産する可能性は非常に低いです。

これは『資金力・経済力』の部分でもそうですし、『人的資源』においてもです。

例えば、社長1人で事業をしている工務店もありますが、社長に”もしも”のことがあると、その会社は継続が困難になります。

少ない人員で経営をすることのメリットも当然ありますが、1人が背負う仕事の重要度・責任が大きいため、1人がいなくなってしまうだけで大きなダメージになってしまう可能性もあります。

スーパー営業マン、カリスマ設計士がたった1人退職してしまうことで、会社の経営が傾いてしまうことはよくあることです。

一方でハウスメーカーは社員の入社・退職を繰り返していますし、人員の移動などもあるため、人が入れ替わっても成り立つ仕組み・体制になっています。

人的な側面からも小規模な工務店と比べ、ハウスメーカーの倒産リスクというのは非常に低いと言えます。

人の移り変わりがあったとしても、組織としてサポート体制ができているのは、大きな強みと言える。

③ 魅力的な土地を持っている

これからマイホームを買う人には想像しづらいかもしれませんが、土地は簡単には見つかりません。

駅近、人気のエリアや学校区はとても競争が激しく、そういった土地を多くの人が狙っています。

ずっと住む場所なのにゆっくり検討できず、買う・買わないの判断を一瞬でしなければなりません。

希望のエリアに土地が出るかどうかも微妙で、正直、運次第です。

一方でハウスメーカーは圧倒的な資金力を使い、人気エリアの大きな土地を購入し、何個かに分割して販売することがあります。

例えば、1億円で買った320坪の土地を1,250万円×8区画×40坪で販売するようなイメージです。

立地も良いですし、近隣に同じような新築の物件が立ち並ぶため、街並みもキレイになります。

ハウスメーカーから直接土地を買うことになるので、仲介手数料もかかりません。

非常に、魅力的な土地です。

ただし、そういった土地を購入する場合は、その土地を売っているハウスメーカーで家を建てることが条件になる「建築条件」がつきます。

その土地を買うなら、住宅会社を自由に選ぶことはできません。

自由に住宅会社を選ぶことはできなくなりますが、その土地にそれ以上の価値があるなら、仕方ないことかもしれません。

綺麗に区画整理された分譲地。販売しているハウスメーカーの建築条件がついていることが一般的。

④ プラン作成、見積り時間が短い

土地が決まった後、次は「どのような家を建てるか?」間取りの打合せに進みます。

ハウスメーカーの営業や設計士が「どんな間取りにしたいですか?」と聞いてくるので、それに対して

  • リビングは1階がよい
  • 対面キッチンにしたい
  • リビングの横に客間
  • パントリー(食品庫)
  • 家事動線をよくしたい
  • トイレは2つ
  • 子ども部屋は2つ
  • 寝室は8帖以上

と、要望を伝えます。※このような要望が多いです

住宅会社は希望を聞いた上で、土地の形や方位、車の台数や停め方、庭の配置などを検討し、間取図(プラン)を作成します。

この間取図(プラン)を作成する時間が、ハウスメーカーは圧倒的に早いです。

工務店の場合だとプラン作成に2週間、見積書の作成にさらに2週間(合計4週間)はかかると思います。

一方でハウスメーカーは1週間(場合によっては3日程度)で見積書とセットで作ってくれますので、とてもスムーズに打合せが進んでいきます。

なぜそんなに早くプランを作成できるかというと、ひとつは工務店と比べて社員が多いからです。

また、ハウスメーカーには何千組ものプランを作成してきた蓄積があります。

そういった「過去、他のお客様に対して提案したプラン」を使い回すことで、完成が早いということもあります。

前述の通り、多くの人の要望は似ていますので、そういった方法を取ることもできるのです。

制作期間が1週間程度なので打合せがスムーズに進む。工務店の場合、2週間~4週間かかるのが一般的。

⑤ 着工、完成まで期間が短い

間取りが決まったら、次は内装や外壁などを選んでいきます。

この打合せも効率的なことが多く、3~4回の打合わせでほとんどの仕様が決まり、決まったらすぐ着工できる体制ができているのも、ハウスメーカーの強みです。

大工さんや下請け業者さんの数も多いので、着工まで期間が短い傾向にあります。

おそらくハウスメーカーで

  1. 建築条件付土地を購入することを決める
  2. プランを作成、見積確認、仕様を決める
  3. 着工~完成、引渡し、引越し

ここまでの期間は最短6ヶ月~7ヶ月くらいです。

家賃を支払っている賃貸アパートから、短期間で新居を完成させて引越しができることが、大きなメリットに感じる人もいるでしょう。

例えば、半年後の『子どもの小学校入学まで』に引っ越したい場合や、建替えで仮住いの家賃がかかる場合などです。

ちなみに工務店の場合、土地探しを始めてから家が完成するまで、早くても1年はかかると思います。

⑥ 冬期間の工事費が変わらない

仮に11月~翌年3月までの5ヶ月間を冬期間と考えると、1年間の約半分が冬期間となります。

冬期間もハウスメーカーや工務店は、基本的に休業せず、工事は進められています。

しかし、実は夏に工事をするよりも、冬に工事をする方がコストがかかります。

土地に積もった雪の除雪費、工事現場の灯油ストーブの燃料費。

そして基礎をつくる場合、現場全体を大きなテントで囲い、ジェットヒーターや練炭などを燃やしてテント内を温めます。

基礎工事現場をすっぽりと囲うようにテントを設置し、内部を暖めて工事を行う。

テント内を夏と同じような環境にして、コンクリートを流し込み、固めていくという作業工程になります。

ジェットヒーターや煉炭を炊くことで内部を暖める。

このような『冬だけかかる経費』があるのです。

しかし、ハウスメーカーでは夏でも冬でも、お客様が負担する工事費に変わりはありません。

もし冬期間の経費をお客様負担とすると、お客様も「では春になってから工事してください」となってしまい、それはそれでハウスメーカーも困ってしまうからです。

一方で工務店の場合、これら冬期間の工事費用を建主さんが負担しなければならない会社もあります。

「子供の進学に合わせて急いでいる…」など、期限がある人の場合、これらの経費も含めて検討しなければならないですね。

⑦ ハウスメーカー限定の住宅ローンがある

一部の金融機関では、特定のハウスメーカー限定の住宅ローンがあります。

当然、店頭やネットで表示されているものよりも金利の低いローンです。

限定ローンの金利は『0.1%~0.3%』くらい金利が低く設定されていることが多く、3,000万円を35年払いで金利が0.3%違うと、総支払額は約170万円も少なくなります。

同じ3,000万円の家を買う場合、通常の金利が適用される工務店と、限定住宅ローンを使えるハウスメーカーなら、ハウスメーカーの方が実質170万円も安く家が買えるとも言えるでしょう。

⑧ カタログ、常設のモデルハウスがある

どこで家を建てようかなと検討する際、まずは資料請求やモデルハウスを見学しにいくのが一般的です。

ハウスメーカーには常にオープンしているモデルハウスがあり、実物を見学しながらイメージを膨らませることができます。

また施工事例や建築工法のパンフレットも多く、「こんな家を建てられそう!」と完成形のイメージがしやすくなります。

工務店でもモデルハウスを持っている会社もありますが、常にあるわけではなく、タイミングが良ければ見れるという会社が多いです。

初めて家を建てる人が実物を見ないで完成形をイメージするのは難しいですが、モデルハウスがあるとイメージしやすくなるでしょう。

しかし、一方で「モデルハウスが現実離れしすぎている」ハウスメーカーもあります。

「自分たちが建てたい家は30坪なのに、モデルハウスは60坪の超豪華仕様。まったく参考にならなかった…」という話もよく聞きます。

また『モデルハウスを建てるコストと維持費』が数千万円レベルでかかることも見逃せません。

これらの費用があなたの買う家の利益から捻出されているとも言えます。

そのため、モデルハウスがあることは、必ずしもメリットとは言い切れないかもしれません。

完成形をイメージできるモデルハウス。一方で現実離れしすぎていて参考にならないという声も…

⑨ 特殊な工法で建てられる

全国規模のハウスメーカーの場合、その会社しか使えない材料や、特殊な工法で家を建てられる会社もあります。

例えば『木造ではなく、軽量鉄骨を使った会社』や『海外から独自のルートで材料を仕入れ、特注製品を制作している会社』などです。

もちろん工務店でも同じように軽量鉄骨での建築、特注製品を制作することもできるのですが、ハウスメーカー規模での発注ができないため価格が高くなってしまいます。

年間1,000棟以上建てている全国規模のハウスメーカーでなければ、なかなか難しいことですので、これはハウスメーカーのメリットと言えます。

とはいえ、必ずしもその工法や特注製品で建てる家が、工務店で建てる家よりも優れているとは限りません。

木造には木造のメリットがあり、軽量鉄骨には軽量鉄骨のメリットがあります。同じく両方にデメリットもあります。

「自分たちが家づくりで大切にしたいことが何なのか?」「それを叶えるためには、どちらの工法が優れているのか?」こういった考え方をするべきでしょう。

シロアリ被害が木造より少ない軽量鉄骨。一方で木造より断熱性能は劣る傾向にある。

⑩ 大量仕入れで値段が下がる

数多くの家を建てている会社ほど、原材料の仕入の値段を安くできます。

例えばリクシル(LIXIL)のあるキッチンが定価150万円だったとします。

この場合、年間10台発注するA社と、年間1,000台を発注するB社では、仕入値が10万円~30万円違ってもおかしくありません。

メーカー側もたくさん仕入れてくれるなら、1つあたりの利益は少なくても仕方ないと考えるからです。

ハウスメーカーは工務店と比べ、圧倒的に注文数がありますから、おのずと仕入値を下げることができます。

つまりは、お客様に出す金額も安くできるということになり、良い商品を割安で買える可能性があります。

※いくら仕入値が安くても、それ以上にハウスメーカーの利益率が高ければ、メリットがない可能性もあります。

⑪ アフターフォローが充実

ハウスメーカーではアフターフォローの専門部署を構え、体制がしっかりしている傾向があります。

工務店でもアフターフォローの担当者を置いている会社もあります。

しかし、基本的には他の仕事と兼任している場合が多く、緊急時の対応スピードに差があるかもしれません。

一般的には10年間の保証期間が20年~30年に延長できる場合もあり、工務店よりも長い傾向があります。

家を買ってからも、何かあればしっかりアフターフォローをしてくれるのは、施主としても安心です。

ただ、多くの人が勘違いしていることがあり、

  • アフターフォロー = 無料の修繕ではない
  • 長期保証する場合は別途料金がかかる

この2点は理解しておくべきでしょう。

アフターフォローが10年間ついているからといって、何かあったら全て無料で全部直してもらえるわけではありません。

また10年以上の延長保証をするなら『10年経った時点で指定のリフォーム工事をする必要がある』『延長保証パック(有料)に加入しなければならない』といった、無料では延長することができない仕組みになっているハウスメーカーもあります。

このあたりをしっかり確認してから契約するように注意しましょう。

アフターフォローが充実していると安心。しかし「アフターフォロー=無料で直してもらえる」とは限らないので注意。

まとめ

ハウスメーカーのメリット、実はたくさんあることに気づけたのではないでしょうか。

冒頭でも書きましたが、マイホームを建てるにあたり「何を大切にして、何を重要視しないか」次第で適切な住宅会社の選び方は変わります。

何が絶対良い、悪いということはありません。

一つ一つ、メリット・デメリットを整理して、住宅会社を選ぶようにしてみてください。

一生の買い物ですからね。