マイホーム購入にかかる諸費用9選をわかりやすく解説【①土地購入編】

結婚し子供も生まれ、現在の住まいが手狭になってきた。

子供が走り回ると、下や上の階の住人に迷惑がかかるし、安心して生活ができない。

家賃を支払い続けるのも無駄な気がするし、この子が小学校に入学する前にはマイホームを購入しよう。

とはいえ・・・

マイホームを購入するには、どのくらいお金がかかるのかわからない。

SNSの広告では、家賃と変わらないくらいでマイホームが手に入るって見たけど・・・本当なのかな?

いくらかかるんだろう?

マイホームを買おうと思った時、真っ先に考えるのは「お金、いくらかかるんだろう?」というシンプルな疑問ではないでしょうか?

人生最大の買い物と言われ、相当なお金がかかることは理解しているけど、、、

実際にどれだけの費用がかかるのか?を、最初から知っている人はほとんどいません。

SNSや雑誌では「2,000万円以下で建てられるマイホーム」なんて書いてあるのに、家を買った友人に聞いたら「総額で5,000万円以上かかったよ」と言われ驚いた人も多いと思います。

しかし現状、札幌で新築マイホームを購入するなら、最低でも4,000~4,500万円は覚悟しなければならない時代かなと思います。

どんなお金がかかるの?

「建物本体価格:1,980万円~」と書いてあるのに、問合せしてみたら実際は「2,500万円以上」だったという話はよくあることです。

『1,980万円~』は、建物本体のみの価格。

しかし、その他に「水道の引き込み・排水の工事」、軟弱な地盤を改良する「地盤補強工事」、生活に必要不可欠な「カーテンやエアコンの設置工事」、車を停めるスペースの「カーポート・アスファルト工事」などの付帯工事を含めると、2,500万円以上になってしまうというパターンです。

実は、住宅価格の表記方法には、明確な決まりだったり、基準のようなものがありません。

そのため、住宅会社それぞれで表記の仕方が違ったり、本体工事に入っているもの・入っていないものが異なります。

また、不動産取得税や登録免許税といった『家を買うことによってかかる税金』、土地を購入する際にかかる場合がある『仲介手数料』、銀行に支払う『事務手数料』、家を守るための『火災保険料』などの費用もかかります。

計画を進めていく段階で「こんなお金もかかるの?」とはならないように、マイホーム購入にはどのようなお金がかかるのかをしっかり勉強していきましょう。

この記事では『土地を購入する時にかかるお金のすべて』を解説します。

土地購入に関わる費用

まず土地を所有していない人は、土地を購入することを考えなければなりませんよね。

土地の探し方は色々ありますが、「SUUMO」や「アットホーム」などの不動産サイトを利用し、希望条件を入力して探すのが一般的です。

エリアや公共交通機関(希望の沿線)で探すこともできますし、土地の広さや価格を設定することで、条件にヒットするものを簡単に検索できます。

当然ですが、人気のエリアや地下鉄沿線は高くなる傾向があり、同じエリアなら土地が広い方が高くなります。

※アットホーム売買のHPから引用

ここに掲載されている価格、この場合1,490万円が土地の価格となります。これはわかりやすいですね。

しかし、この土地を購入しようと思った時に土地価格の『1,490万円だけ』で購入することはできず、色々なお金がかかります。

土地にかかる色々なお金について、説明していきますね。

① 仲介手数料

これからマイホームを考えている人が土地を購入する場合、取引パターンは大きく分けて2つあります。

一つは『直接売買』で、土地の所有者(売主)が直接買主(お客様)を探して販売するパターンです。

ハウスメーカーが所有している土地を、ハウスメーカー自身が販売しているパターンが多いですね。

登場人物を考えてみるとわかりやすいのですが、ハウスメーカー(売主)とあなた(買主)の2者しか登場しない場合は、直接売買になります。

この場合には、仲介手数料はかかりません。仲介する人が存在しないからですね。

「取引態様」の欄に「媒介」となっていれば仲介手数料がかかります。「売主」と書いてある場合はかかりません。

もう一つのパターンが『仲介(ちゅうかい)』や『媒介(ばいかい)』と言われるものです。

これは土地を所有している人(売主)が自力では買主を見つけられないため、仲介業者に販売活動を委託するパターンです。

登場人物は、①売主、②仲介業者、③買主の3者になり、間に仲介業者が入ることで仲介手数料が発生します。

仲介業者は売主の代わりに買主を探したり、物件の案内をしたり、売買契約書の作成や買主への重要事項説明などをおこないます。

取引が完了した際に仲介手数料を払うこととなり、金額は『物件価格の3%+6万円+消費税』が上限となります。※ほぼこの上限金額で取引されるのが一般的です

上記の1,490万円の土地を仲介取引で購入した場合、1,490万円×3%=447,000円となり、これに60,000円をプラスすると507,000円(税抜)。

そこに消費税を足した557,700円(税込)を、買主も仲介業者へ支払う必要があります。

土地の価格が高くなれば、仲介手数料も高くなるので注意しましょう。

※400万円以下の物件の場合、仲介手数料の計算方法は変わります

② 解体費用

土地を購入する際、もともと『空き地だった土地』を買うパターンと、『古い建物がある土地』を買うパターンがあります。

空き地だった土地は特に問題はなく、基本的にそのまま家を建てることができます。

一方、古い建物が建っている土地の場合、注文住宅を建てるなら、古い建物があると邪魔ですよね。

この場合、既に建っている建物を売主の負担で『解体』し、何もない『更地』で販売されることが多いです。※これを解体更地渡しと言います

現況は「建物有」ですが、引渡しは「更地渡」となっている。この場合は売主の費用負担で更地にしてくれます。

しかし極わずかですが、建物をそのままの状態で販売し、解体するなら買主の費用負担で壊してくださいという『現状渡し』物件もあります。

現状渡しで販売する理由としては、

  • まだ建物が使えるので建物付きで販売する
  • 売主が解体費用を負担したくない
  • 解体するのが難しい
  • 解体するのに多大な費用がかかる
  • 解体すると周辺の家に影響があり解体できない

などが考えられます。

土地を探していると、明らかに周辺相場と比べて、価格が安い物件が出てくることがあります。

そういった場合には『現状渡し』となっている可能性がありますので、注意して見てみてください。

解体費用は物件の大きさや、アスベストを含んでいるかどうかでも変わりますが、150万円以上はかかると考えておきましょう

引渡しが「現況渡」の場合は解体費がかかります。ここが「相談」「-(棒線)」「空欄」の場合も注意しましょう。

③ 地盤改良費

地盤改良工事とは、軟弱な地盤を補強する工事のことです。

一見強固に見える地面もエリアによっては地中が軟弱であり、その上に家を建ててしまうと家が傾いたり沈んでしまう可能性があります。

そういった地盤エリアの場合、補強工事をしなければなりません。

地盤改良に多大な費用がかかるエリアもあるので事前に確認しましょう。

札幌市では、主に北側(北区、東区、西区・手稲区のJR線路より北側)が軟弱な地盤であり、改良費用が100~200万円くらいかかる場合もあります。

一方で地盤改良が必要ないエリアもありますので、購入する前にどのくらい地盤改良費が必要なのかを確認してから購入しましょう。

『土地の価格は1,500万円だが、地盤改良費が200万円かかる土地』も『土地の価格は1,700万円だが、地盤改良費がかからない可能性が高い土地』も、総額は同じですからね。

④ 擁壁、土留め

擁壁(ようへき)や土留め(どどめ)というのは、前面の道路やお隣さんの土地と高低差がある場合など、土が流れ込まないようにするための『壁』の役割を果たすためのものです。

赤く囲っている部分。前面の道路より敷地が高く、このまま家を建てると土が流れ出る可能性が高いので対策が必要。

費用はどの程度の塀・土留めをつくるかで変動しますので、こちらも購入前に確認するようにしましょう。※仮に写真の赤い部分に塀を作るとしたら200万円以上。

ちなみにこのような特殊な工事が必要になる土地は、周辺相場と比べて安くなっている傾向があります。

基本的には前面の道路とフラットな土地を購入することをオススメします。

しかし理由があり、このような高低差のある土地を購入しなければならない場合には、塀や土留め工事費がかかることを理解しておきましょう。

⑤ 所有権移転登記

土地を購入した際、土地所有者の名義変更をする必要があります。これが『所有権移転登記』です。

住宅ローンを利用して土地を購入する場合には、司法書士が手続きを行います。

土地の価値によって費用(登録免許税)が異なりますが、札幌市内の平均的な金額としては、20万円~30万円くらいでしょう。

ちなみに司法書士へ依頼すると、司法書士への報酬が発生してしまうため、自分で登記をしたいと考える人もいます。

しかし住宅ローンを利用する場合、銀行がそれを許してくれず、司法書士への委託が必須となるでしょう。

理由は、ローン返済ができなくなった場合に差し押さえができる権利(抵当権)を、銀行が土地に設定するためです。

⑥ 銀行の事務手数料

住宅ローンを借りる時、銀行に事務手数料を支払う必要があります。

北洋銀行・北海道銀行は約3万円ですが、金利の低いネット銀行やメガバンクでは借入額の2.2%かかるのが一般的です。

ネット銀行で5,000万円借りるとしたら、事務手数料だけで110万円もかかるということです。

金利の低さだけで住宅ローンを選んではいけない理由が、ここにあるんですね。

⑦ 銀行の保証料

また保証料(借入額の2%程度)というものが必要な銀行もあります。

住宅ローンは、親や兄弟などの連帯保証人をつけることはほとんどなく、その代わりとして保証会社へ『保証料』を払う形になっています。

ただ、現在の住宅ローンは保証料がかからない(金利に含まれている)パターンが多く、保証料が別途かかることは珍しいでしょう。

仮にかかったとしても、その場合は事務手数料が多大にかかる銀行はなく、事務手数料・保証料ダブルで2%かかるというパターンはありません。

⑧ 固定資産税清算金

不動産を所有すると、毎年『固定資産税・都市計画税』というものがかかります。

この固定資産税・都市計画税はその年の1月1日に所有者だった人が、その1年分の税金を支払う決まりになっています。

これを所有権を移転した日に清算しましょうというのが「固定資産税清算金」です。

例えば、2023年1月1日時点である土地をAさんが所有していたとします。

そして、この土地を2023年6月1日にBさんへ売買で所有権移転することになりました。

この場合、2023年の固定資産税・都市計画税は全額をAさんが支払うことになりますが、6月1日以降はBさんの持ち物なので、『6月1日~12月31日までの214日分をBさんがAさんへ支払う』という清算の仕方をします。

※これは固定資産税・都市計画税が14万6千円の例です。事前に固定資産税・都市計画税を確認しておきましょう。

所有権の移転をした日から年末までの分を負担するってことです。

年末に近づくほど負担する日数は少ないので、支払う清算金も少ないことになります。

所有権移転するタイミングにもよりますが、札幌なら2万円~5万円くらいになることが多いと思います。

⑨ 印紙代

住宅ローンを利用して土地を購入する場合、土地の売主と『売買契約書』、銀行と『金銭消費貸借契約書』という2つの契約書を交わすことになります。

この契約書に収入印紙を貼らなくては(納税しなくては)なりません。

契約金額等により印紙代は異なる。郵便局で購入できます。

売買契約の金額、お金を借りる金額によって必要な印紙代は異なりますが、1万円~2万円と考えておきましょう。

ちなみに最近では、タブレットを利用した電子契約を採用するケースもあり、その場合には印紙代はかかりません。※しかし5,000円前後の電子契約手数料を取られるケースあり。

まとめ

土地を購入する際にかかる費用は、おおむね上記にあげたものになります。

解体費、地盤改良、擁壁・土留めなどは、かかる土地・かからない土地がありますが、こういったものを含めて土地購入費であると理解いただければと思います。

価格の安い土地を購入したが、地盤改良費用が多大にかかったり、擁壁などの特殊な工事が必要になるなら、地盤改良も擁壁工時も必要のない土地を購入するべきかもしれません。

土地にかかるこれらの費用を参考に、計画的に進めていきましょう。

こちらの記事では、建物を建てる時にかかる費用を解説していますので、ぜひ御覧ください。