団体信用生命保険、告知書の記入ポイント

私は2020年10月に「胆のう(たんのう)」という臓器にあった大量のポリープの摘出手術を受けました。

8年前くらいに発見したのですが、エコー検査で見てみると「胆のう」の中は素人目にもポリープだらけ。胆のうは、消化に役立つ臓器なのですが「もはや機能しているのか微妙だね~」とお医者様からも言われる始末。

「とりあえず現状は問題ないけど、これだけポリープあるとガンの発見がエコー検査では無理かもしれない」「今後も経過観察に来るのはいいけど、お金も時間もかかるし手術したら?」とアドバイスしてもらい、前述の通り2020年10月に手術を受けました。

人生初の手術でしたが、やはり30代、そしてもうすぐ40代となる身体には、色々と不具合が出てくるものです。

健康診断の結果について

私もそうですが30歳を過ぎるくらいから、多くの人は健康診断で何かしらの「指摘事項」が出てくると思います。運動をしないで、暴飲暴食を繰り返し、ストレス社会で生きていれば・・・色々と身体にも変化は出てくるでしょう。

指摘事項には、『経過観察』という「とりあえず様子を見ておきましょう」レベルのものもあれば、『要再検査、要精密検査、要治療』という「ちょっとヤバそうだから、何かしらの処置をした方が良さそうですよ?」みたいなものまであります。

私は定期的な運動をしている甲斐もあり、ポリープ手術以外は何もないのですが、住宅ローンを借りようとしている年齢の多くの人たちには、何かしらの指摘事項があることがほとんどですね。

団信、入れますか?

このような健康診断で指摘事項があると、民間の生命保険に加入する際や、住宅ローンを組む際に加入がほぼ必須な『団体信用生命保険の告知書』に現在の健康状態をウソ偽りなく、記入(告知)しなければなりません。

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンを組む時に加入する生命保険。ほとんどの銀行で加入が必須となり『団信に加入できない=ローンが借りれない』ということになります。

これからマイホームを購入したいが「コレステロール値が高い」「視力がめちゃくちゃ悪い」「何年前に手術をしたことがある」「精神的な疾患がある」などなど、健康上のトラブルがある人は「団体信用生命保険に加入できるのか?」つまり「ローンが借りられるのか?」と心配になるようです。

入れるかどうかは、その方の病状だったり、健康診断の結果次第ですので明確に断言はできませんが、以下のポイントをおさえて記入すれば、審査が通る確率が高くなるハズです。

保険会社が気にすること

「健康上の問題がなく、告知事項がない」これがベストですが、保険会社も「いやいや、30歳、40歳になる人なら何かしら指摘事項あっても仕方ないでしょ」こういった考えをある程度は持っています。なので、まずは告知事項があることに対し、あまり悲観的にならないことです。

その上で告知書の正しい書き方のポイントをお伝えします。まず告知書を書き出す前に、保険会社の立場になって考えてみましょう。

告知書は、あなたの健康上のリスクを保険会社がしっかりと把握できるようにするためのものです。平たく言えば「この人は総合的に判断して、保険に加入させても問題ないか?」を判断してもらうためのものです。

前述の通り、何かしら健康上の問題があることは仕方ないとして保険会社としては「具体的にどのような状況なのか?」だったり、「その健康上の問題に対して、この人はどんな行動をとっているのか?」このあたりがとても気になる点であり、重要ポイントです。

具体的に説明していきます。私のポリープを例えにすると告知書に書くべき内容はどちらでしょう?

A:2012年に胆のうにポリープがあることがわかり、経過観察中。

B:2012年に胆のうにポリープがあることがわかり、札幌厚生病院にて超音波内視鏡、エコー、CT検査を受け、コレステロールポリープ(陰性)と判明。以降6ヶ月~12ヶ月に1回、定期検診を受け、現在も異常なし。服薬なし。最終検査日2019年10月。

どうでしょう?明らかにBの方が「このポリープは悪性ではないんだな」と理解してもらえると思います。

また「この人はしっかり検査を定期的に受け、改善させよう、死亡リスクを減らそうとしている」というのが保険会社に伝わりますよね?

結果的に私が団信に通るかどうかはわかりませんが、AよりもBの方が診査OKとなる確率は、間違いなく高くなるはずです。

これは通らない確率が高い

また、よくあるパターンとして「健康診断で『要再検査』の指摘があるが、再検査に行っていない・・・」このパターンがとても多いです。気持ちは痛いくらいわかります。

しかし、これをそのまま告知書に「尿酸値が高く、要再検査の指摘あり」と書いた場合、保険会社より「再検査を受けてください」または「謝絶(診査の結果、加入できません)」という回答になる可能性が極めて高いです。

そのため、健康診断で「要再検査、要精密検査、要治療」の指摘事項がある人は、住宅ローン審査の前にしっかりと検査を受け、その結果から生活改善をし、団信の告知書を書くまでにできる限りの対処をしておくようにしましょう。

コレステロール値、尿酸値などは、生活改善をすることで改善することが見込めますからね。

最も注意するべきこと

一番気をつけてほしいことは、保険のことをよく理解していない不動産屋さんや住宅営業マンに「そのくらいの病状なら書かなくて大丈夫」とアドバイスされ、本当は告知事項に該当するのに「無告知」にしてしまうことです。

これは『超危険』です。最悪の場合、告知義務違反となり、もしものことがあった場合にも保険がおりない…なんてことになりかねません。

営業マンが何故こういったアドバイスをするのかというと、理由は2つあります。

一つは、シンプルに「保険に詳しくないから」です。彼らは保険屋さんではありませんからね、保険のことをよく理解していません。

もう一つの理由は「何としてもローンに通ってほしいから」です。彼らの仕事は家を売ることです。だから住宅ローンの審査に通ってほしい、つまり団信でNGにはなってほしくない、このように思っています。

生命保険についても詳しくないですから「何か書いて、団信通らなかったら嫌だな」「だったら書かないでもらおう!」という思考になりやすいのです。

告知義務違反で団信がおりなくても、営業マンは責任をとってくれません。このことを忘れずに、告知しないといけないことはしっかりと告知するようにしましょう。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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