「住宅ローンを借りるなら、できるだけ頭金を入れた方がよいと聞いたことがあるのですが・・・新松さんは、どう思いますか??」
私がお客様から受ける質問のうち、約3割が住宅ローンに関する内容です。ちなみに上記の質問については、別のお役立ち情報にて回答をしていますので、まだ見ていない方は参考にしてみてください。
最近では住宅ローンに関する様々な本やネット記事、YouTubeでもたくさん情報が出ています。情報がたくさんあるのは嬉しいことです。
しかし、あまりにも情報があり過ぎると「何が正解なのかわからない…」「色々と調べてみたのですが、結局、正解がわかりませんでした」みたいな状況に陥ってしまうことも。。あなたもこんな経験したことがあるのではないでしょうか。
今の時代、たくさんの情報から『本物』を見極める力が必要ですね。
さて今回は 『住宅ローンは、できるだけ短い期間で組んだ方がよいのですか?』について私の考えをお答えします。
結論、これは間違い
銀行から住宅ローンを借りるときには『返済期間』というものを決めなければなりません。返済期間とは『何年で住宅ローンを返していくか?』という期間のことです。
スタンダードは35年返済、しかし最近では最長で『40年返済』で組むことができる銀行もあります。
30歳だとしても完済年齢は70歳、40歳なら完済は80歳です。安定した収入がなくなる老後にローン返済が残っているのを心配する人も多いでしょう。
また、期間が長くなれば長くなる程、かかる利息が多くなるため「40年返済よりも35年」「35年よりも30年、25年」といった短い期間で借りるべきだという専門家もおり、この方々が言うことも理解はできます。
しかし、私の考えとしては最初に住宅ローンを組む期間としてはできるだけ長い期間(概ね35年程度)に設定するべきだと思っています。
その理由は、2つあります。
1.変更手続きの簡単さ
新居で生活してみると、思ってもみない出費が出てくることでしょう。
例えば「思っていたよりも『光熱費』がかかる」「今までよりも『ガソリン代』が増えた」「近隣のスーパーが高くて『食費』が増えた」などなど。
最初から無理して返済しようすると、思っていた以上に出費があった場合、日々の生活が厳しくなる可能性があります。
4,000万円を金利1%で借りた場合だと「35年返済→月々112,914円」ですが、「25年返済→月々150,748円」となり、その差は約40,000円!月々に返済する負担が全然違いますね。。
もちろんトータルで返済する金額は、短い期間で借りた方が少なくなりますが、住宅ローンは安定した生活を送りつつ、しっかり返済し続けられることが大切です。
「25年で返済しようとしていたけど、返済額が多くて家計が厳しい…。やっぱり35年返済に変更したい…」このように思う方は、意外と多いのです。
しかし、この「短い期間を長くする」変更手続きはとても大変で、最悪、できない可能性もあります。再審査も必要で、手続きのための費用もかかってしまうかもしれません。
一方、「35年で借りたけど、家計に余裕があるから30年で返してしまおう!」という手続きはとても簡単なのです。
この場合『繰り上げ返済』という手続きをすればOKで、簡単に期間を短くすることができます。例えば100万円余裕ができた時に、それを毎月の返済とは別に銀行に返してしまうことを『繰り上げ返済』といいます。
繰り上げ返済をすると、本来100万円にかかるはずだった利息を払う必要がなくなり、かつ、支払った100万円分の返済期間を短縮することができるのです。毎月の返済額元金が5万円だった場合、『100万円÷5万円=20か月分』つまり2年弱分、短縮することができます。
繰り上げ返済には審査の必要もありません。
「短い期間→長い期間へ」×
「長い期間→短い期間へ」◎
こんな違いがあるんです、住んでから柔軟に返済期間を変更できる方を選んでおくべきですね。
2.団体信用生命保険の存在
住宅ローンを利用する際には、団体信用生命保険という保険に加入することが要件となるのが一般的です。
この保険は住宅ローンを組んだ後、借りた人が亡くなったり、契約によってはガンになった場合など、残りの住宅ローンがチャラになるという保険です。
あなたが4,000万円のローンを組み、もしも家を購入した後に亡くなってしまった場合、団体信用生命保険に加入していればローン残高が0円になります。
このことを踏まえて、仮にあなたが現在40歳だとして
A:25年でローンを組む(65歳で返済)
B:35年でローンを組む(75歳で返済)
その時、どちらの選択をしますか?
確かに、満期まで返済を続ける前提であれば、Aの方が支払う総額は少なくなります。
しかし、もし66歳のタイミングで亡くなってしまった、またはガンになってしまったと考えたら・・・
Aの場合、すでに支払いを終えている為、団体信用生命保険は関係ありません。
しかし、Bの場合ならその後の返済は、団体信用生命保険が適用され、住宅ローンがチャラになります。
そうなると、総支払金額はBの方が少ないことになるのです。もちろん未来のことなので不確定ですし、予測できるものではありません。
しかし、住宅ローンを借りるということは、大きな金額の生命保険を新しく加入するのと同じ意味を持ち、25年で借りれば25年の生命保険ですが、35年なら35年分の生命保険になるのです。
この点も含めると、短い期間で借りるのが絶対正解ではない!と理解できるのではないでしょうか。
※団体信用生命保険の保障内容によって、残りの住宅ローンがチャラになる条件は異なります。注意しましょう。
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この2つの理由から私の意見としては、借りる際には35年程度の期間で融資を受けることをオススメしています。
家計の状況や貯蓄額、年齢、連帯債務にするかしないか?などの要素によって、もちろん個人差はあります。
とはいえ基本的な考え方としては、上記を参考にしていただいて間違いありません。
保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。