貯金がないと、マイホームを買ってはいけないのか?

あなたはいくら貯金がありますか?当事務所に相談に来ていただく方でも、家計の状況は人によって様々です。

1,000万円以上ある人、100万円以上の人、10万円以上はあるという人。そしてなかなかお金を貯めることができず、貯金がほぼない、具体的には『10万円以下』という方もいらっしゃいます。

結婚したばかりで結婚式や車を買うためにお金を使い、一時的に貯金がなくなったという家庭もあります。

その家庭の状況次第ですから、一概に「貯金がないのはダメですよ!」とも言えません。

とはいえ貯金(運用なども含めて資産)は、当然、あるに越したことはないと思います。

特に、これからマイホームを買う予定なら、『頭金として現金を使う』『家具・家電を買う』『予測不能な支出があった場合に備える』など、貯金をしっかりしてから家を買った方が安心感はあります。

多くのファイナンシャルプランナーや、住宅雑誌などのお金の質問コーナーでは、「マイホームを買うなら、しっかりお金を貯めてから買いましょう!」と発信されていることが多いでしょう。

これについては、当たり前というか、面白くもない「ごく一般的な回答」だなと思います。不特定多数の方へのアドバイスとしては決して間違っていません。

しかし、必ずしも貯金がない人に対して「お金を貯めてから家を買いましょう」がベストなアドバイスかといえば、それは間違いですね。

貯金ゼロでの住宅購入

私は『貯金がほぼできていない家族』のマイホーム購入のお手伝いをした経験があります。

貯金が「ほぼ0円」に近く、毎月のお給料を、毎月の生活費などに使いきっている状態です。

FPではなくとも、貯金ゼロのそんな状況で住宅ローンを借りて家を買うことに対し、「それって危険じゃないの?」「しっかり頭金を100万円くらい貯めて、それから家を買っても遅くはないのでは?」このように思う方も多いと思います。

これはおっしゃる通りですし、それができるならそうした方が良いのかもしれません。

今の家計ではそれができない

しかし、なかなかそれができません。「貯金をしてから家を建てる」はあくまでも理想論です。

例えば、世帯収入450万円の家庭の場合。

会社からの家賃補助がなく、賃貸アパートに毎月7万円の家賃を払っている状況の中、生活費を切り詰め、やりくりしながら、貯金を100万円するのはとても大変です。

1年後のマイホーム購入を目標に、1年間で100万円貯めようとする場合、毎月70,000円の住居費を払いつつ、毎月83,000円(100万円÷12ヶ月)の貯金をするのは、かなりキツいと思います。

わかりますよね?この感覚。下手をすれば、貯金をするのに3年以上かかってしまう可能性もあります。

もしもその期間に、金利が上がったり、土地価格や建築費が上がってしまったら、せっかく貯めた100万円の意味が0になってしまう可能性もあります。

それなら今の家賃と同じ「毎月7万円」の返済になるように住宅ローンを組み、マイホームを購入してから貯金をする方がよりスピーディーに、より多くの金額を貯めることができる場合もあるのです。無駄な家賃を払うことがなくなりますからね。

現実問題として「お金を貯めた方が良いのはわかっている」けれども「貯めたくても、貯めれる状況ではない」という家庭もあるわけで、そういった場合は「家を買ってから貯金をしましょう」という選択肢もアリなのです。

貯金ゼロでも買っていい条件

しかし、すべての家庭が貯金ゼロの状態で「マイホーム購入に踏み切っても大丈夫!」または「踏み切った方が良い」かといえば、やはりそうではありません。

簡単にいうと、「家を建てた後の方が、明らかにお金を貯められる見込みがある家庭」に限られます。

具体的には、「携帯電話などの通信費の見直し」「保険料の削減が見込める」「パート→正社員みたいな奥様の働き方が変更できる見込みがある」「奨学金やカーローンの支払いが2~3年後に終わる」などなど、明らかに今後、家計改善が見込める場合は貯金0円状態でもマイホーム購入に踏み切ってもよいと思います。

私がお手伝いしていたご家族も、この条件に当てはまっているので、あえてマイホームを購入してしまった方が良いですよとアドバイスしたのです。

マイホーム購入後には奥様の年収が予定通り上がり、カーローンの返済も終わり、アパートの家賃とほぼ変わらない金額のローン返済をしつつ、徐々にお金が貯まる家計に変化しています。

攻めの問題解決

「しっかりとお金を貯めてから、マイホームを買った方が良いですよ」

これは正しいアドバイスに聞こえるのですが「ではどうやって貯めるの?」「生活費、削ってカツカツなんですけど…」と聞かれた場合、なんと答えるでしょう?

「いや、もっと頑張って生活費を削る…」これは解決しているようで、全く解決に至らないだろうと個人的には思います。

「それができれば苦労しないよ…」となるのがオチで「頑張る!」などの精神論だけでは解決できません。

「住宅ローンを借りてマイホームを購入し、マイホーム購入目的以外の貯金ができる!」

これは一見するとリスクが大きい選択に思える『攻めの解決方法』ですが、この家庭においてはそれがベストな選択だったと思いますし、実際に今、毎月の貯金ができるようになっています。

勘違いしないでほしいポイント

今回伝えたいのは、「貯金があるから家を買っても大丈夫!」というわけでもなければ、「貯金がないから家を買ってはいけない」とうわけでもないということです。

仮に100万円以上の貯金があったとしても、今後の生活設計をシミュレーションした時、買うべきではない人には正直に「今、買うべきではありません」とアドバイスしていますし、今回の事例のような逆のケースもあるわけです。

何度もいいますが「貯金ゼロで家を買ってOKですよ!」ということではありません。この点については、くれぐれも勘違いしないよう気をつけてください。

場合によって「貯金をしてから家を買おう!」よりも「家を買ってから、貯金をしましょう!」この方が良いこともあるということです、そこは注意してくださいね。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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