住宅ローン手続きで、絶対にやってはいけないこと

これから話すことは、住宅ローンを利用してマイホームを買う人に対し、とても大切な内容になっています。

タイトルにもあるように『絶対にやってはいけないこと』ですので、注意するようにしてください。

それでは、結論から言いますね。絶対にやってはいけないこととは、

団信の告知義務違反

このお役立ち情報では何度も団体信用生命保険(団信)についての重要性をお伝えしてきました。

団体信用生命保険とは、住宅ローンの債務者が亡くなった場合など、特定の要件で住宅ローンがチャラになる「ほぼ強制加入」の生命保険です。

保障内容は銀行によって違いますが「死亡や高度障害」「ガン」「心筋梗塞や脳卒中で所定の状態になる」などでローンがチャラになるものもあります。

団信は一部の住宅ローンを除いて、ローンを借りる時に強制加入になります。逆に言えば、加入できないならローンを借りることができないとも言えます。

当然ですが、債務者の健康状態次第では加入できるとは限りません。健康状態が悪く、団信に加入できない人は住宅ローンも借りれない可能性が高いということです。

生命保険や医療保険に加入した経験がある人は知っているかもしれませんが、生命保険の申込書には過去2~3年分の病歴などを申告する必要があります。

例えば「胆のうにポリープがあり、悪性ではないものの半年に一度、経過観察を受けている」みたいな感じですね。

過去の病歴が多かったり、何かしら健康状態(数値)が悪く、病気になるリスクが高いと思われる人は団信に入れない可能性があります。

最悪のパターン

「正しく申告したら住宅ローンを借りることができないかもしれない…。それなら多少なら申告しなくても大丈夫かな?」

健康上に問題がある人の場合、上記のように意図的に告知義務違反をする人もいます。

また告知すべき健康診断結果にも関わらず、自分の結果を忘れていて結果的に無告知にしてしまうパターンの人もいます。「要再検査」の項目があったにも関わらず、それを忘れてしまっているみたいな感じです。

しかし、どのような経緯であれ、この告知義務違反があると債務者が亡くなってしまった場合に住宅ローンがチャラにならず、その家を相続することになった人がローンの支払いをしていかなければなりません。

例えば、奥様が専業主婦であれば基本的には『ご主人』が単独でローンを組む形になります。

ご主人にもしもの事があった時、しっかり告知をして団信に加入していたら当然、ローンはチャラになります。奥様がローンを引き続き支払っていく必要はありませんし、そのまま家に住み続けることもできます。

しかし、告知義務違反があった場合、最悪ローンはチャラにならず、ローンを専業主婦である奥様が返済していかなければならない可能性も出てきます。

専業主婦の方が多額のローンを支払うのはかなり大変ですから、結果的に家を手放すことになるかもしれません。こうなってしまうと残された家族は大変ですね。

ちなみに、ある金融機関が提携している生命保険会社に確認したところ、毎月全国で200件の団信の請求があり、そのうち約10件が告知義務違反に該当しているそうです。

20人に1人の割合=5%が該当しているということです。かなり多くの人が告知義務違反に該当しているのがわかります。

なぜ告知義務違反をするのか?

「病歴を忘れていた」「告知する必要がないと思った」「どうしても家が欲しくて故意に書かない」「このくらいなら申告しなくても大丈夫だろう…」など、団信の重要性がわからずやってしまうケースもあるでしょう。

仮に自分の意思で告知義務違反をしたのなら、家族も諦めがつくかもしれません。

しかし、告知義務違反をする多くの場合は、自分の意思ではない場合が多いだろうと私は思います。

どういうことかというと、ハウスメーカーや不動産会社の営業マンに「書かなくて大丈夫ですよ」と言われ、書かないパターンの人が多いと思っています。

家を購入する人は住宅ローンを借りるのも、団信の申込書を書くのも初めてですから、いつも住宅ローンを扱っている営業マンのアドバイスが正しいと思ってしまう傾向にあります。

住宅ローンのことも知っているなら、団体信用生命保険の正確な記入の仕方も知っているだろう。こう思ってしまっても仕方ありません。

しかし実は、彼らは生命保険について知識がありません。彼らは家や不動産を売るプロですが、生命保険を扱うプロではないのです。

生命保険を扱うための生命保険募集人の資格試験も受けていませんし、募集人登録もしていませんから知識がなくて当然です。そんな人たちが感覚で「書いたほうがいい」「書かなくても大丈夫」とアドバイスしているのです。

団信なんてどうでも良い

さらに言えば彼らの仕事は「家を売ること、不動産を売ること」です。

ということは、家を売る立場からするとお客様が住宅ローンを借りられないのはとても困ることです。

前述の通り、多くの人は住宅ローンを利用して土地や家、マンションを購入しますから、住宅ローンが借りられないと困るのです。

「過去の病歴をしっかりと告知する」→「審査の結果、団信が通らなかった」→「ローンが借りられない」→「家が売れなくなってしまう」こういう思考回路です。

しかし売った後、あなたにもしもの事があった時に「団体信用生命保険がおりる・おりない」は、正直どうでも良いのです。

彼らの仕事は家や不動産を売ることであり、安心して住宅ローンの返済ができること、もしもの場合に団体信用生命保険がおりることは、正直どうでも良いのです。

極論、告知義務違反をさせてでも、何とか住宅ローンを借りさせたいと営業マンは思っているかもしれません。だからこそ団体信用生命保険の申込は、自己責任でしっかりしなければなりません。

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とはいえ、申込書の記入の仕方がわからないという人もいると思います。

その場合は生命保険会社に直接、記入方法を電話で聞いてみましょう。申込書には必ず問合せの電話番号が記載されています。

「正直、面倒くさい・・・」と思うかもしれません。しかし、これは本当に大切なことです。もしもの時に残された家族のことを考えて、面倒でもしっかり記入してあげてください。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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