「お金に関わる相談」をする相手、決める基準

私は、生命保険の募集人(つまり保険の営業マン)をしていた経験があります。

既に募集人は辞め、現在は保険を扱わないFPとして住宅購入に関するお金の相談を受けています。

その経験から「有料で良いので保険の見直しのアドバイスをしてほしい」と言われることもチラホラです。

多くの方の加入保険を見ていると、とてもいい内容の保険に加入されている方は全体の30%程度で、見直しをする価値があると思われる方が約50%。

そして「今すぐにでも見直した方が良いですよ」と言いたくなる方が20%程度いらっしゃいます。

そういった方の加入している保険を見ていると「この保険会社を選んだ理由」「この保障を手厚くしている理由」「何故、これほどの保険料を払ってるのか?」などなど、謎がいっぱいになります。

その保険に加入した理由を聞いてみると「保険のことってよくわからなくて…」「なんか入っておいた方がいいのかなって…」とおっしゃられることが多いですね。

しかし、それとは別で「友人」または「友人の紹介で会った営業さん」だったので信頼し、不信感を抱かずに加入してしまったという方も一定数いらっしゃいます。

こういう方々は、自分自身が保険について勉強をしていなかったのも原因だと思いますが「友人だから大丈夫だろう…」という考えが後押ししたのも間違いありません。

誰に相談するのがベスト?

買いたいものがある。しかし、その分野について知識が不十分で「誰かに相談したい」と考えることは良くあることです。

「誰かに色々と教えてもらいたい。でも、誰に相談したら良いだろう?」こう考えた時、当然ながら“自分よりも知識がありそうな人”を選ぶと思います。

例えば「どんな保険に入ろうかな?」と思い、「誰に相談したら良いだろう?」と考えると、

①既に保険に入っている両親や知人

②ショッピングモールの保険の無料相談所

③高校時代の同級生である保険の営業マン

④保険の営業をしていたが、転職をし、既に保険の取扱をしていない人

これらの選択肢がある中で、あなたが選ぶならどの人でしょう?きっと④を選ぶのではないでしょうか。なぜなら、

①と比べて知識が豊富そうだと思える

②と比べて売り込まれる心配がない

③と比べても売り込まれる確率が低く、もし③④で迷うとしたら人間関係次第

という理由からです。

こう考えるとわかりやすいのですが、日々の生活の中で、相談する相手を正確に見極めている人はとても少ないでしょう。

友人=安心ではない

知らない分野の知識を教えてもらう時、考えるべき大切な視点として「テーブルの向こう側に座っている人が、どのような立ち位置なのか?」そして「なぜ、その商品を提案しているのか?」これを見極めることがとても重要です。

「友人だから」「友人の紹介だから」これは正直、ほとんど関係ありません。

大切なのは「あなたの利益を優先できる立場の人」なのか。それとも「相手の利益を優先させられる可能性がある人」なのかです。

確実にWIN-WINになれる相手に相談ができればベストですね。

これは、保険に限った話ではありません。車でも、家でも、その他全てに共通します。

どんな車を買おうか迷っているとき、あなたが相談した知り合いが、「①トヨタで車の販売営業をしている」「②販売目標を掲げられている」「③車を売っただけ歩合が入る給与システム」これらに該当する場合は「他社の車よりもトヨタの方がいいよ!」とアドバイスされる可能性が高いかもしれませんね。

家も同様で「①特定のハウスメーカーで働いている」「②ノルマがある職種」「③家を売ると給料が上がる」こういった背景が予想できれば、あなたに対して全力で自社の家を営業してくる可能性が高いので警戒したほうが良いかもしれません。

とても残念なことではありますが、心や収入に余裕がない相手だった場合、その相手のメリットが大きければ大きい程、あなたが「喰い物」にされる可能性が高くなります。世の中、色々な人がいますからね。

親しい友人であれば「彼は彼自身のメリットよりも、私のメリットを考えてくれるハズだ」と思うかもしれません。

その通りであることを私も願うのですが、自分が支えなければならない家族の生活を考えたとき、心の中で「ごめん…」と思いながら自分自身の利益を優先している可能性もゼロではありません。

新型コロナウイルスの影響で、多くの業種では売上が厳しい状況です。経済が衰退し、営業歩合の割合が高い人はお給料が減る可能性も否定できません。

そんな時でもあなたのことを最優先に考えてくれる人格者であれば、その人からアドバイスを受けたいですね。

初対面でも信用できる相手

「どんな保険に入るべきなんだろう…」と考えているなら「保険の知識がある人」であり、且つ「保険の営業をしてこない人」こういった人がいれば最高だと思います。

「どんな家を買ったらいいだろう…」と考えているなら同様に「家の知識が豊富な人」で「家を売る立場ではない人」こういった人がいれば最高ですね。

この場合、私が考える最良の選択肢は『有料相談』で専門家に依頼するです。

お客様の利益を追求することの対価として、有料で料金をもらうことにしている人です。有料だから真実を伝えることができますし、利害関係なく、言いたいことをズバッと躊躇なく言えます。

世の中には無料相談も溢れていますが、なぜ無料が成り立つのかを考えると、やはり何かを販売して利益を得ているからに他なりません。

それが保険や提携会社の住宅であれば、成功報酬という形で紹介料をもらうようになっている仕組みです。

結果的に、あなたの利益優先ではなく、多くの紹介料がもらえる会社の保険や家を紹介されている可能性が高いのです。

私の判断基準

事業をしている私には、色々と“美味しい話”が入ってきます。

ビジネスツールの営業だったり「提携しませんか?」という提案だったり、新しい資産運用の仕組みだったり。

「そんなに美味い話ある?」と思うようなものも、山ほどあります。

そんな時は「私にとってはとても利益があることだが、あなたのメリットってなんですか?」といつも聞きます。

こちらにはメリットがあるように感じるが、相手にはそれほどメリットがあるように感じない提案も多々ありました。私はそういったものを信じることができません。

結論、私はこちらのメリット以上に相手にメリットがあると理解できない提案は、すべてお断りすることにしています。

「そんな商品をなぜ私に教えてくれるのか?」その理由が理解できないからです。きっと騙されるんだろうな、と。

この判断方法はあなたの実生活の中でも役に立つ考え方だと思いますので、取り入れてみると良いと思いますよ。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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