高額療養費制度を解説します

こちらの記事にて私が入院したこと、そして入院手術にかかった費用についてまとめました。

→私が2021年に入院した話

入院前後の検査で約3万円、4泊5日の入院・手術で約15万円、合計すると『約18万円』です。

そしてここから『高額療養費制度』を活用し、『約5万円』還付されました。

結果的に今回の入院、手術、検査の自己負担合計は『約13万円』でしたね。

4泊5日入院して手術もしましたし、その前後も多くの検査をしてもらったので、この金額で収まってよかったなと感じます。

個室の追加料金44,000円(税込)を含んでの金額ですし、個室を選ばなければ10万円以下でした。

ただ、これは私が『高額療養費制度』をしっかり理解してフル活用したからこそ、この金額で収まったという側面もあります。

何も考えずに入院していたら、おそらくあと3~4万円高くなっていたと思います。

今回はこの『高額療養費制度』について、注意点を説明していこうと思います。

1ヶ月の医療費上限制度

この制度の存在自体を何となく知っているという方も多いのでは?と思います。

正式名称は、『高額療養費(こうがくりょうようひ)』が正解です。※高額医療費?と間違ってお医者さんや看護師さんに言っても通じます。

ざっくり言えば、1ヶ月あたりにかかる医療費に上限を設定しますという制度です。

普段病院へいくときは、健康保険証を提示するだけで自己負担が3割となります。例えば実際の医療費が1万円かかったとしても、自己負担は3,000円みたいな形です。

3,000円なら大きな痛手ではありませんが、もし医療費が100万円かかった場合は『30万円』にもなりますから、かなりの負担ですよね?

そのため、一定額以上の高額な医療費がかかった場合には「高額療養費制度」を利用することで更に自己負担額を減らすことができるのです。

何となく制度自体は理解できたでしょうか。ちなみにこの制度のことを知らなくても、実際は病院側から「こんな制度がある」と教えてくれますから安心してください。

ただ事前に詳しく理解しておくことで、自分が入院した際にどのくらいお金がかかるのか知ることができたり、人によっては「医療保険に加入しておいた方がいいのか?」を判断できると思います。

高額療養費について、私も今回入院して始めて知った情報もありました。注意点が『5つ』ありますから、興味がある人は続きをお読みください。

1ヶ月あたりとは?

高額療養費は1ヶ月あたりの上限を定める制度ですが、この『1ヶ月』とは『同一月』を指します。

つまり、1日から月末までということ。例えば、『10月1日~10月31日まで』ということです。

そのため、『10月15日~11月14日まで』となると、同じ31日間にも関わらず、1ヶ月の上限が10月分と11月分の2ヶ月分かかってしまうことになります。

その為、私はあえて10月1日に外来の予約、退院後も10月中に検査を受けました。

入院前の検査~退院後の通院までを10月1日~31日のうちに、すべて終わらせたかったからです。

おかげですべての医療費を同一月の1ヶ月上限分で抑えることができました。

外来と入院は別

入院前後の検査で約3万円(外来)、4泊5日の入院・手術に約15万円の医療費がかかっているのですが、高額療養費は外来でかかった費用と入院中にかかった費用とが別々に計算され、それぞれ高額療養費の対象になる最低額が決まっています。

私は入院でかかる費用は高額療養費を受けられることは確定していましたが、外来で受けた検査費用などを高額療養費に合算できるかどうかは、外来でかかった費用が10月中の合計で21,000円以上になる必要がありました。

私が手術前後の外来でかかった費用合計は約3万円ですが、これが9月や11月に分散して外来受診をしていたら、外来でかかった医療費3万円は高額療養費の対象にはならなかった可能性があります。

個室代、食費等は含まない

あくまで高額療養費が適用となるのは『医療費』に限定されます。

そのため、

・個室を選んだ際の個室料

・食事費(病院食)

・病院までの交通費や駐車場代

・病院内のコンビニで利用したお金

こういったものは対象となりません。

個室を選んだ際の料金ですが、私が入院した病院は1日8,800円(税込)、4泊5日で44,000円(税込)でした。たぶん平均的な個室料だと思います。

個人的な感想ですが、1週間程度の短期入院なら、迷わず個室を選ぶと思いました。

他人の「いびき」や「そしゃく音」、生活音が気になりませんし、こちらも周りを気にすることなく生活できる(ガスも出せる)というのはとても価値のある環境だなと思いました。

収入によって上限が変わる

これは税金と同じような考えです。収入が多くない人には、高額過ぎる医療費は厳しいだろうから上限額を低く設定しよう。

逆に多くの収入を得ている人には、比例して医療費も多く負担してもらおう。ってことです。

どのような計算式になるかは割愛しますが、札幌市民の平均的な年収だと、医療費は「上限9万円」程度になります。

これに上記で触れた個室料や食事費が上乗せされるような感じですね。

先進医療、自由診療は含まない

健康保険の3割負担が対象にならない『先進医療や自由診療』は、高額療養費の対象とはなりません。

治療費が高額となる先進医療や自由診療に対する備えは、民間の生命保険会社で対象の医療保険特約に加入するしかありません。

正直この保障が必要なのかは、判断が難しいところではあります。

個人的には先進医療や自由診療でなければ治療ができない、生きる選択ができない、といった状況になる確率がかなり低いと思っています。

その為、保険に加入もしていなければ、仮にそういった事態になってしまったら多額の治療費を全額自己負担するか、おとなしく死を覚悟しようと思っています。

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なんとなく多くの方が知っている制度ではあるものの、やはり細かい注意点があり、知っているか知らないかで支払うお金がかなり変わると感じました。

なかなか入院は身近なものではなく、今の時点でこういった知識をつけていても忘れてしまうかもしれません。

ただ、自分がそういった状況になったとき、色々と調べると私のように制度を上手く活用できるということもあります。

私はこの入院がとても良い経験になりました。FPとして価値が一回り大きくなったと感じています。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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