「年収の○倍までなら返せる」はウソ

当事務所では、その家庭にとって購入しても問題ない住宅の予算を

  • 現在の収入や支出状況
  • 趣味や旅行にかけたいお金
  • 出産や子育て、教育にかけたいお金や方針
  • 車の買い替えのタイミングや車種
  • 現在加入中の保険内容

こういった話を伺いながら、適正な住宅購入予算を診断、シミュレーションしています。

このようなFP相談をしてからマイホームを購入しようと考える人は、私の肌感覚だと全体の1~2%しかいないと思います。※ハウスメーカーと提携される無料FP相談を除く

私がいうのもなんですが、このような相談を事前にした上で予算を見極め、計画的にマイホームを購入できる人は素晴らしいと思います。

『現在と未来』の『収入と支出』を把握した上でライフプランシミュレーションをする以外、適正な購入金額を知る方法はありませんからね。

ダメな予算の決め方

購入者:「皆さん、予算ってどうやって決めているのですか?」

営業マン:「年収の7倍~10倍くらいは住宅ローンが借りられるので、その範囲で家を建てていますよ」

これはハウスメーカーの営業マンと、購入希望者さまがよくされる会話です。

正直なところ住宅営業マンを含め、多くの人が正しい予算の決め方を理解していません。

多くの人は、

  • 現在の賃貸アパートの家賃
  • 同僚や友人が購入した価格と同じくらい
  • 年収の7~8倍までOK
  • 年収の35%以内に抑えれば大丈夫

このような基準を使って購入予算を導き出しています。

しかし残念ですが、これらはすべて根拠のない決め方なんですよね。

根拠のない理由

例えば、現時点では8万円のアパート家賃が払えていても、子供の学費がかかる年齢になった時に、同じ金額を払えるかはわかりません。

また、今は共働きなので収入もダブルで入ってくるが、産休や育休、仕事を辞めたとしても、払っていけるかわかりません。

年収が同じくらいの同僚の意見を参考にしても、貯金や生活費、子供の人数や教育方針によって人生における支出額は違います。

前述した予算の決め方では、住宅ローンを安心して返していける根拠にはならないのです。

そして現在の年収だけを基準として、

  • 借りることができる金額(7~8倍など)を基準にする
  • 年収に対する返済比率を基準にする(年収の30%~35%まで、等)

こういったものを参考にするのは最悪です。

借りれると返せるは違う

よく言われることですが、「借りられる金額」と「返せる金額」は全く違います。

銀行が貸してくれるということは、銀行が「しっかり返済できると判断した」と受け入れてしまう人もいるみたいですが、これは間違いです。

銀行はある程度の返済を見込んでいますが、最悪、土地と建物を『差押え』することも視野に入れて貸付する金額を決めます。

以下、年収だけを基準として借入金額を決めるのは根拠がないという理由を、3つ順番に説明していきます。

① 稼げる期間が違う

Aさん:現在35歳(残り25年勤務)

Bさん:現在45歳(残り15年勤務)

年収が同じ500万円、定年退職が60歳の人だったとしても、現在の年齢によって今後働ける期間は異なります。

つまり、これから稼げる金額も変わります。

Aさん:500万円×25年=1億2500万

Bさん:500万円×15年=7,500万

その差は、なんと5,000万円です。

今後の収入が5,000万円も違うのに、同じ金額のローンを借りても大丈夫とはなりませんよね。

「現在の年齢」は当然として、

  • 退職年齢
  • 退職後の働き方や年収予測
  • 退職金の有無、受け取れる金額

これらを把握し、考慮した予算設定をしなければなりません。

② 支出は家庭ごとに違う

Cさん:子ども0人、出産予定もなし

Dさん:子ども3人

Eさん:子ども5人

同じ年収500万円の家庭でも、子供の数が違えば、支出も大幅に違うと思いませんか?

子ども一人を大学まで通わせる為には、最低でも1,000万円以上の学費がかかります。

公立、私立の選択肢次第では1人あたり1,500万円以上にもなります。

上記の例では、Cさんは子どもがいませんから教育費はかかりません。

しかし、Eさんは最低でも1,000万円×5人=5,000万円の教育費がかかることになります。

学費だけでも、これだけの差が開きます。

  • 食費、外食費
  • 水道光熱費
  • 旅行費用
  • 衣服代
  • スマホ代金

家族が多くなるにつれて、支出が多くなる項目はたくさんあります。

現在の家族構成、出産予定、進学先について、学資保険への加入の有無などを把握、考慮した予算設定をしなければいけません。

③ 手取り金額が異なるから

『年収500万円』と『年収1,000万円』、単純に年収2倍です。

とはいえ、2倍の住宅ローンを組んでも良いかといえば、答えはNOです。

なぜなら税金や社会保険料が違うため、手元に残る金額が変わるからです。

いわゆる『手取り』として残る金額の割合が、年収によって違います。

詳しい説明はここでは割愛しますが、年収が多くなる程、税率が高くなり、手元に残るお金の割合が少なくなります。

その為、税や社会保険料を差し引く前の『税込年収』を参考に予算を決めるのは、全く根拠がありません。

さらに、年収の中に『現在住んでいる賃貸の社宅費用』などが含まれている場合もあります。

もしマイホームを持った時に、この社宅費用や家賃補助の支給額が減額されるとしたら、マイホームを持ったことで実質、年収が下がることになります。

その為、年収という表面だけではなく、その中身がどのようになっているのかを正しく把握する必要があるのです。

家を買った後も安心できる予算の見極めを

年収だけを基準とした借入金額の設定は、本当に危険です。

「皆さん、そうしていますよ」と言われると、なんとなく信じてしまうのが日本人のようです。

住宅購入において、一番大切なのは『無理のない適正な購入予算』をしっかりとした方法で知ることです。

適正な購入金額さえ把握できていれば、家を買った後も家計が破綻するのを防ぐことができます。

当事務所で提供している「あんしんマイホーム資金計画書」を作成すれば、しっかりとした根拠のある購入予算を見極めることができます。

戸建を検討されている人は、9,900円(税込)にてサービスを受けることができますので、検討してみてください。

人生最大の買い物をする前に利用するサービスとしては、非常に割安な金額で設定しています。

是非活用してみてください。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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