マイホーム購入後、11年目が最大の危機である

家を買った後、数十年もの間、住宅ローンの返済をしていけるのか…?

この答えは、当事務所のサービス、「あんしんマイホーム資金計画書」を作成することで導き出すことができます。

この「あんしんマイホーム資金計画書」で家を買ったあとの未来予測をすると、

・将来に渡って資産が赤字にならない

・貯金がなくなり生活が成り立たなくなる

どちらかの結果になります。

家を買っても収入と支出のバランスが取れ、貯金もしっかりでき、老後になっても資産がなくならないなら、安心してマイホームの購入計画をスタートできますね。

一方・・・

将来、どこかのタイミングで収入よりも支出が著しく多くなり、貯金が尽きる相談者さんも約50%います。

この資金が尽きるタイミングで多いのが60歳を過ぎ、収入がガクンと減ったとき。

そして家を買ってから『11年目』を境に、毎年少しずつ貯金が減りはじめ、最終的に貯金が底をつくケースもあります。

60歳以降、収入が減ることで赤字になるイメージはしやすいと思いますが、11年目に収支が悪化するのは何故でしょう?

今回はなぜ、

「家を買って11年目が危機になるのか?」

について、理由を5つ説明していきます。

1.住宅ローン減税が終わる

まずは10年間の住宅ローン減税が終わり、税金が増え、結果的に手元に残るお金が少なくなることが挙げられます。

最近、消費税10%で新築を購入した方はこの期間が13年になるのですが、消費税が8%や5%の時代に家を買った人は10年間となります。※2022年以降は減税期間が13年間となりました

ローンの借入れ金額や年収によっても減税される金額は異なりますが、札幌市民なら、毎年20~30万円程度の恩恵を受けている人が多いと思います。

この20~30万円程度の恩恵が11年目以降なくなるということです。

税金という支出が多くなり、結果、手元に残るお金が少なくなってしまうんですね。

2.金利の固定期間が終わる

35年間、ローンの金利が変わらなければ毎年支払う返済額も同じになります。

※元利均等返済の場合

しかし、多くの人が35年間ずっと金利が変わらない『固定金利』ローンを選ばず、 目先の金利の安い『変動金利』、または『固定期間選択型』、この住宅ローンを利用しています。

固定期間選択型というのは、

・最初の3年間だけ

・最初の10年間だけ

みたいな数年間だけサービスタイムがあり、その後は金利が上がる可能性が高い商品。

例えば、最初の10年間は1%だけど、11年目からは1.3%~1.5%になるといった感じですね。

3,500万円35年払いを上記に当てはめると

・最初の10年間→年間119万円の返済

・11年目→年間126万前後の返済

このように返済額が増えてしまうため、家計が厳しくなるというものです。

金利がそれ以上に上昇していると、さらに返済額が増えてしまいます。

北海道の場合、北洋銀行、北海道銀行で住宅ローンを借りる人が多いと思いますが、どちらの主力商品も固定期間選択型ですし、他にも多くの銀行が『固定期間選択型』の住宅ローンを取り扱っています。

固定期間3年、10年を選んでいる人は終了後に一気に年間支払額が増えますから、注意が必要ですね。

3.メンテナンス費用がかかる

屋根のメンテナンス、外壁の塗り替え、ボイラーの寿命・・・

これは建築する地域の特性・環境や、機器の当たりハズレによって前後しますが、短いもので10年~15年でメンテナンスや交換が必要とされています。

他にもキッチンの水栓やLED電球の交換、エアコンや家電の買替えなど・・・これらの寿命も10年前後かもしれません。

しかも、これらは計画的に壊れてくれません。

これらの機器の買替えやメンテナンス費がかかってほしくないタイミングで、「プツン!」と突然壊れたりします。

家計が厳しい10年前後のタイミングで壊れたりするんですよね。

これはボディーブローのようにじわじわと家計に響いてくるでしょう。

※ちなみに私が作成するライフプランでは、10年に1度、130万円程度のメンテナンス費用がかかる計算で見積もっています。

4.火災保険の更新が必要

2021年10月現在、火災保険の契約は最長で10年間しか契約ができません。

つまり、家を建てて11年目を迎える時、火災保険の更新も必要になるということです。

火災保険はどんな物件に住んでいるかで保険料率が大きく変わります。

鉄筋マンションなら10年で保険料は10万円程度だと思いますが、木造の一戸建ての場合、20万円~30万円前後かかると見込んでおくべきだと思います。

いきなり「更新のお知らせ」が届き、数十万円払わないといけなくなりますから事前に注意しておきましょう。※2022年10月以降は最長5年に短縮となる見込みです

5.高校、大学入学で費用がかかる

子どもの学費が急激にかかるタイミング、それが中学3年生と高校3年生です。

中学3年生の「高校受験」のタイミングで塾や家庭教師の“学校外”でかかる費用が多くなりますし、大学の入学金は、推薦入学の場合など、高校3年生時の割と早いタイミングで支払いが必要になるケースが多いからです。

この負担が引き金になり、貯蓄が減り、その後の大学資金の捻出などができず、赤字家計になることが多いです。

言うまでもなく大学の学費は中学、高校と比べものにならない程、多額になります。

これから家を買おうとしているご家族は、

・ご夫婦

・3歳~5歳の一人目のお子様

・0歳~1歳の二人目のお子様

この3人~4人家族の構成であることが

非常に多いですが、1人目のお子様が10年経てば14歳前後で高校受験を控えます。

数年後、2人目のお子様が高校受験を迎えるあたりに、1人目のお子様の大学への入学金を支払い、その後大学4年間の学費を払い続けないといけなくなります。

多くの家庭で11年目、つまり、お子様が14歳以降になるタイミングで教育費が負担大となり、赤字に転落するケースが目立っていますね。

・・・・・・

これらの原因がタイミング悪く、11年目に一気に家計を直撃する爆弾のようになれば、それこそ一気に家計が吹っ飛ぶ状況に陥りかねません。

運まかせの計画ではなく、やはり事前にどのタイミングで、どのようなお金がかかるのかを知ってから計画を進めるのが懸命だと思いますよ。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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