「あなたの退職金はいくらですか?」
この質問に正確に答えられる人がどれだけいることでしょう。
私もしっかり調べたことはないのですが、おそらく回答できる人は、ほぼいません。
なぜなら、開業6年目の当事務所ですが、累積500名以上の相談者さんに対して上記の質問をしたところ、正確に答えられた人は過去0人だからです。
しかも、お会いする前に「退職金についてお伺いしますので、調べておいてくださいね」とご案内をしているにも関わらず。
どれだけ多くの人が、退職金についてアバウトに考えているかがわかりますよね。
ただ、改めてこのように聞かれると、
『退職金がいくらもらえるか?』はとても大切な話なのに、なんで知らないんだろう・・・?
と思いませんか?
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めっちゃ聞きづらい質問
自分の退職金を知ろうとしない理由は、色々とあると思います。
「退職金なんてあるかどうかわからない」「どうせあまりもらえないんだろう」「興味がない」・・・おそらく、こんな感じでしょう。
ただ、私が推測する大きな理由は、「私の60歳時の退職金、いくらですか?」と、ダイレクトに聞きづらいからだと思います。
20代~30代の人なら「まだ退職まで20年以上あるのに、今から退職のことを気にして仕事するの?」みたいに思われたくないとか、
「退職金?あなたはお金が大好きなのね」と思われたくないから聞けない・・・という人もいるのではないでしょうか。
気持ちはとても理解できます。
ただ、「自分の退職金がいくらなのか?」がおおよそ理解できていれば、退職金以外で60歳まで自分で貯めないといけない金額が推測できたり、適正な住宅ローンの借入金額がわかったり、繰り上げ返済計画を立てることができます。
想像以上に色々メリットがあるんですよ。
現実を理解することから
「退職金なんてうちの会社では見込めない」と漠然と諦めている人もいるでしょう。
このご時世、正直そうなのかもしれません。
退職金の支給は、法律で決まっているわけではありませんからね。
ただ、そういう人に限って「とはいえ、実は少しもらえるのかも?」と、胸の中で期待していたりします。
この少しの期待感があるがゆえに、「退職金はまったく見込めないから、自分でコツコツ貯めておかないと・・・」という腹をくくれていない人がどれだけいることでしょう・・・
想像するに難しくありません。
ただ、現実をしっかりと理解すれば行動が変わるキッカケになることもあります。
ちなみに私は個人で仕事をしていますので、会社から支給される退職金は0円が確定。
そのため、自分で退職金の代わりになる資金の積立てや、貯金や運用を積極的にしないと!と、ひたすら実行しています。
上手な聞き方
それでは、「退職金がいくらなのか?」を知ることが大切だと改めて理解できた所で、どうしたら「私の60歳時の退職金、いくらですか?」を聞きやすいか考えてみます。
私なら鉄のハートでド直球ストレートに聞きますが、それができない、しづらいのであれば・・・
今、流行っているiDeCoの話題に便乗して聞くようにしてみてはどうでしょうか。
iDeCoとは、スーパー簡単にいうと、『老後のための資産を今から計画的に貯めておくことが重要だから、コツコツと毎月お金を自分で貯めておいてね!』と国がつくった制度です。
iDeCoでは、自分が決めた金額を毎月、コツコツと貯金や運用するシステムなので、「毎月いくら貯めるか?」を最初に決めないといけません。
この毎月の金額を決める方法として、「退職までいくら貯める必要があるのか?」を理解しなければなりません。
思考の流れを整理すると、
iDeCoで毎月積み立てる金額を決めたい
↓
60歳時点で□□□万円貯めておきたい
↓
60歳まであと〇〇年(〇〇〇ヶ月)ある
↓
□□□万円を〇〇〇ヶ月で割ると、毎月△△円貯めないといけない
このように、目標達成するためには、逆算して考える必要がありますよね。
退職金を含めて計算
ここに退職金を含めて考えてみます。
iDeCoで毎月積み立てる金額を決めたい
↓
退職金が☆☆☆万円見込める
↓
60歳時点で□□□万円貯めておきたい
↓
60歳まであと〇〇年(〇〇〇ヶ月)ある
↓
□□□万円から退職金☆☆☆万円を引き、それを〇〇〇ヶ月で割ると、毎月△△円貯めればOKだな!
こんな感じです。
退職金の話をド直球で聞くのではなく、
「老後の資産形成のためにiDeCoを始めようと思うのですが、毎月の積立額を決めるために退職金が知りたい」
と、iDeCoを利用してあたかも人生設計を今のうちからしっかり考えている人をアピールした退職金ヒアリング方法です。
ここ最近では、人生100年時代だったり、iDeCoをやつみたてNISAなど資産運用も一般化してきていますから、
このような聞き方だと「お金が大好きな人」という印象ではなく、「長期的な計画が立てられる人」「真面目な人」と相手に印象づけることができるのではないでしょうか。
・・・・・・
結局、今日の話で一番いいたいことは、「退職金をどうしたら聞き出しやすいか?」ではなく、
「『退職金がいくらなのか?』を今から知っておくことは、とても大切だよ」こちらです。
当然、どんな聞き方でも構いません。
退職金が思ったより少なかったとき、全くもらえなかったときのダメージはとても大きいでしょう。
逆に、思った以上に退職金がもらえた人は基本的に嬉しいハズですが、それまでの人生で無理や我慢をする必要がなかった可能性もあります。
老後のことを考えて贅沢をしなかったが「もっと家族で旅行に行けばよかった」「子供の教育にお金をかけられた」「もっと立地の良い家を買えた」などなど、私の人生、実はもっと贅沢ができていた・・・なんてことになるかもしれません。
適正な時期に、適正なお金を、『貯めておく』『使っておく』ためにも今のうちから退職金についてしっかり把握しておくようにしましょうね。
保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。