マイホーム購入費を『500万円以上』簡単に削減する具体的な方法

土地建物で6,000万円…聞いたときは驚愕でしたね。

「あんしんマイホーム資金計画書作成サービス」をご利用いただきました、ある相談者様の住宅計画の話です。

地下鉄徒歩10分以内の土地を購入し、30坪~32坪程度の注文住宅を希望。

購入に伴う諸経費を合計すると6,000万円前後になるかも…とのことでした。

地下鉄沿線とはいえ、30坪のマイホームを購入するだけで6,000万円になるとは…

いよいよマイホームを買える人も限定されてきたなといった感じです。

ハウスメーカーから提案されているローンの返済計画は40年で、相談者様はアラフォーのため完済年齢は80歳。

年収は高いものの、それに伴い支出も多く、シミュレーションをするまでもなく「これは厳しい…」とFP歴10年の経験則から感じました。

シミュレーション結果は、予想通り「将来大赤字」。

相談者様は年収が高いとはいえ、6,000万円ものマイホームを購入するなら、使わないところは使わないというメリハリが必要です。

使途不明金も年間100万円以上・・・

「まずは家計管理をして、生活費を改善するところからですね」

「住宅購入価格を500万円~1,000万円ほど、減額した方がよいと思います」

とアドバイスをさせていただきました。

もっと安くなるのでは?

私が今回、一番率直に感じたことは「6,000万円もかけずに、もっと良い家が手に入るのではないだろうか?」ということでした。

大まかですが、

  • 土地2,400万円(解体費込み)
  • 建物3,400万円(税込)
  • 諸経費200万円(仲介料、登記費用、銀行手数料等)

このような内訳で合計6,000万円という計画です。

前提として人それぞれ、希望の学校区やハウスメーカーなど、どうしても譲れない条件などもあると思いますので、すべての人が減額できるとは限りません。

しかし、少なくとも今回の相談者様の要望を聞く限りでは6,000万円もかからずに、満足のいく家を建てることは容易だと思いました。

しっかり色々な土地やハウスメーカーなど選択肢を吟味すれば、あと500万円~1,000万円くらいは簡単に減額できそうな気がしています。

以下、私がこの相談者様が「5,000万円以内でマイホームを買う方法」を具体的に記したいと思います。

①土地の選定をしなおす

地下鉄東豊線沿線(北側)で徒歩10分以内で土地を探す場合、確かに土地金額だけで2,000万円以上してしまうのは覚悟しなければなりません。

しかし今回の場合、解体費を含めた土地取得費の合計は、2,400万円(徒歩9分、約40坪)にもなります。

客観的に見て、周辺相場から比べても、かなり割高であることは否めませんでした。

あと1か月~2か月、しっかり時間をかけて探すだけで、もっと納得のいく土地が見つかると個人的には思いました。

また土地を探す際、駅から徒歩10分以内と条件を設定する人は多いです。

しかし、徒歩11~13分の土地で満足できないかといえば、決してそんなことはないと思います。

土地の大きさや価格が同じであれば、もちろん駅から近い方が良いに越したことはありませんが、

A)駅から徒歩9分、40坪、2,200万円

B)駅から徒歩12分、40坪、1,900万円

この二択の場合、どちらを選ぶかは人それぞれだと思います。

徒歩3分に300万円の価値があると思えばAを選ぶでしょうし、逆ならBを選ぶことでしょう。

このように、

「相場観をしっかり見極めて高すぎる物件をつかまないこと」

「少しだけ要望を妥協して選択肢を増やすこと」

こういったことをしていただくだけで、結果的に大きく総予算を削ることができるようになります。

今回の相談者様の場合、徒歩12分以内で土地価格が1,900万円前後で見つけられるような気がします。

結果的に満足度は変わらない、または大きく上昇するのではないかと思いました。

駅前の距離、広さ、日当たり、前面道路幅員など価格を決定づける要因は様々。それぞれのバランスや自分自身の優先順位を整理してみると選択肢が広がることも。

②ハウスメーカーにこだわる必要があるのか?

こちらの相談者様が検討されていたハウスメーカーは、いわゆる大手の住宅会社です。

大手ハウスメーカーにも当然メリットがあるものの、基本的には札幌市内の中堅ビルダーや工務店と比べ、コストはかなり高い傾向があります。

いわゆる坪単価というものも、2023年現在であれば、工務店が80~90万円前後なのに対し、ハウスメーカーは100~120万円を超える会社がほとんどです。

32坪の家を建てる場合、工務店なら2,600万円~2,800万円程度の会社が多いものの、ハウスメーカーでは3,300万円~3,500万円にもなる会社もあります。

ここで伝えたいことは、「工務店の方が安いからオススメですよ」ということではなく、「自分が建てたい家がハウスメーカーでなければならない理由があるのか?」ということをしっかり考えた方が良いということです。

「大手は安心感がある」「大手の方が暖かい家を建ててくれるはずだ」という“なんとなく”の発想ではなく、何故その会社を選ぶ必要があるのかを明確にした方がよいですね。

大手ハウスメーカーよりも暖かく、デザイン性も良い家を建ててくれる工務店は、札幌市内に山ほどあります。

住宅会社を選ぶ決め手が、そのハウスメーカーにしかないものであれば、そのハウスメーカーで建てることが良い選択だと思います。

しかし、他の住宅会社や工務店でも叶えられるものであれば、工務店等も含めて検討されるのが良いと思います。

ちなみに多くの住宅購入者さんに、「何故、その会社を選んだのか?」と聞くと、「営業マンが信頼できる人だったから」という回答が一番目立ちます。

初めて買うマイホームで、実際のところ断熱性能や耐震性能など、正直色々わからない。

だから「この人が言うことであれば信頼しても大丈夫だろう」と思ってしまう気持ちもわかります。

しかし、そこに数百万円の価値があるかどうかは、冷静になって考えた方がよいかもしれません。

住宅会社によって価格帯や特徴は様々。マイホームに求めている優先事項を整理し、数社比較・検討して住宅会社を選ぶようにするのがオススメ

方針転換できるタイミング、できないタイミング

今回の相談者様の場合、500万円程度であれば簡単に予算を減額できると思いました。

土地の探し方、選ぶべき住宅会社を再検討すればよいだけです。

ちなみに500万円予算を下げたことによって、500万円分の満足度も一緒に下がるわけではありません。

むしろ「予算は500万円下がったけど、満足度は150%になった」という結果になると思っています。

ただし、こういった方針転換ができるタイミング、できないタイミングというものがあります。

例えば、

  • 既に土地の契約をしてしまっている
  • 住宅会社と仮契約をしてしまっている

ここまで行ってしまったら、なかなか方針転換できません。

私としても、本当は色々とアドバイスしてあげたいものの、アドバイスすることで相談者様が悲しい気持ちになってしまったら…と思うとできるものもできなくなります。

当事務所に相談される方の中には、「土地や住宅会社との契約直前になって、怖くなって相談に来た」という人がいますが、正直そこまで来てしまっていると、もうどうしようもできないことが多いのです。

そのため、当事務所に相談をしようか迷っている人は、まだ計画が定まっていない早い段階から相談に来ていただきたいです。

契約直前になって怖くなり、第三者に相談したくなる人は多い。しかし、その段階まで話が進んでいると、既に解決できない問題になってしまっていることもあるので相談は早めに。

少しの努力で総額を下げることは可能

このように土地、建物、それぞれ簡単に価格を下げる方法があります。

土地価格や建築価格が高騰している今だからこそ、少しの努力で大きくマイホーム取得費を抑えることができるでしょう。

そして相談をするなら、できるだけ早い段階で相談していただけると、打てる対策が多いのも事実です。

特にお金の面での対策は、早めにお願いします。

私は家づくりが好きですし、人によっては6,000万円以上の総額になってしまったとしても、マイホームを持つことに十分価値があると理解しています。

ただし、やはり適正金額というものはあります。

「この立地、この建物に対して、この価格」といった『コスパ』という意味での適正価格。

そして、「この人の人生において、収入と支出のバランスを考えた時に、マイホームにかけるべきお金」という意味での適正価格。

2つ意味のある適正価格の中で、最高のマイホームを建てることができれば、家を建てた後の人生もより良いものになると思います。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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