リフォーム済み中古戸建の見極めは難しい

「収入的に予算をあまりかけられないので、中古一戸建てを検討しています」と、ご相談されることがよくあります。

土地や資材の高騰もあり、2022年11月現在、札幌で比較的利便性のよい土地を購入し、そこに注文住宅を建てるとなると諸経費込で『最低4,500万円』、ちょっと贅沢をしたら『5,000万円~5,500万円』このくらいは覚悟しないといけないでしょう。

本当に厳しい世の中ですね。

仮に「金利1%」「35年払い」「ボーナス払いなし」という条件で住宅ローンを「5,000万円」借りると、毎月の返済はなんと『約141,000円』にもなります。

14万円を超える金額を毎月返済するのは経済的、そして精神的にも厳しいですね。

最近だと、比較的コストが安い『建売住宅』でも諸経費込みで4,000万円はするでしょう。

結果的に『3,000万円以下』で購入できる選択肢は、『中古の一戸建て』しかないということになるのです。

さて、この中古住宅についてですが・・・

見極めがかなり厳しい

私は住宅のプロであり、住宅購入後のお金の流れをみるプロです。

そんな私でさえ、数ある『リフォーム済み中古戸建』の中から優良な物件を選別するのはかなり難しいです。

中古物件は『リフォーム済み』だとしても、それはパッと見たときの外見だけをリフォームしている場合がほとんどです。

キッチンや風呂、洗面台、トイレが新しいものになっているのは当然として、古いデザインの床の張替えや建具交換、壁紙の張替え、外壁材など、初めて家を買う人がその家を見た時に「お、これでもいいんじゃない?」となるような見栄えの部分だけをリフォームしている感じです。

一方で耐震性能や断熱性能、エコなボイラーや暖房設備への交換など、性能面を向上させる為のリフォーム工事は、ほぼしていないのが実情です。

こういう物件を買ってしまうと、結果的にどうなってしまうのでしょう?

寒い、そして暑い

元々、築25年の中古住宅。

見た目はリフォーム済みで新らしくキレイになっていても、性能は25年前のままです。

断熱材は昔ながらのものがそのまま使われ、年月とともに劣化もしているでしょう。

気密性能も良くないでしょうから、家の外から隙間風がどんどん入ってくる。おのずと『冬は寒く、夏は暑い』家になるでしょう。

光熱費、かかりまくり

そんな寒い家を暖房であたためますが、そもそも暖かくなりづらい・・・。

断熱性、気密性が悪いですからね。例えるなら、断熱・気密ともに良い家というのは「蓋の閉められた魔法瓶」のようなものです。

一方で断熱・気密が悪い家というのは「キャップを閉め忘れたペットボトル」のようなもの。

いくら温めても、どんどん熱が逃げていってしまうのです。

かつ、ボイラーの性能もエコなものではないままだと、ものすごい光熱費がかかります。

こちらは、『車の燃費』をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。

最近の車は、ガソリン1リットルで10km~15km程度は走りますし、車種によっては20km以上走る高効率な車がほとんどです。

一方、昔の車の燃費はこの半分程度、車種によっては3kmくらいしか走らないものもあります。ガソリン代がかかって仕方ないですよね。

断熱性能、ボイラーの性能が悪いと、家でも同じようなことになってしまいます。

昨今の高断熱・高気密物件なら光熱費が3万で済むのに、中古なら2倍の6万円かかるみたいなことが起こってしまいます。

年間の差額は36万円、35年継続すると、差額は1,260万円にもなります。

もし中古住宅を買うなら、日々の光熱費やメンテナンス費が新築物件と比べてかかることを覚悟して購入するべきでしょう。

実際に住んでいた人の声

当事務所にこられる相談者さんの中には「中古物件を売って、新築を建てたい!」という方も来られます。

理由を聞けば、

・冬は寒いし、夏は暑い

・光熱費は高い

・色々壊れるからメンテナンスが大変

・間取りの使い勝手も悪い

・1、2年後に外壁の大規模な修繕が必要

などなどです。

購入したときは「新築より安いし、リフォームされているし、良さそう」って思ったらしいのですが、リフォーム済み中古戸建特有の落とし穴にハマってしまった感じです。

こんな感じで中古一戸建てを購入した後、後悔して新築を買い直したいという需要は一定数あります。

表面がキレイになってしまっているリフォーム済みの中古物件は、私のようなプロでも目利きするのがとても難しい住宅なのです。

どんな物件を選ぶべき?

個人的には中古一戸建てを積極的にオススメはしませんが、どうしても予算を抑えるために中古住宅という選択しかないという方もいます。

その場合、私のオススメとしては「リフォームしていない中古物件」を買い、

・断熱性能や気密性能を上げる工事

・屋根や外壁の防水工事

・ボイラーや暖房器具の交換

こういった見栄えではなく、家としての性能を上げるリフォーム工事を優先的におこない、その上で予算に余裕があるなら、

・キッチン、お風呂、洗面台、トイレなどの住設機器

・床や壁紙、建具

などの「見た目」の部分に割り当てていくという形が良いかと思います。

きれいなキッチンやトイレ、お風呂、オシャレな内装に憧れる気持ちはとても理解できるのですが、住宅のプロという立場からいえば、この順序が正解でしょう。

買ってから後悔だけはしてほしくないと思いますし、リフォーム済みの中古物件の見極めは本当に難しいですよというのだけ、覚えておいてほしいなと思います。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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