土地が見つからない…不動産屋に行くべきか?

家を建てたいのに、土地がぜんぜん見つからなくて困っている・・・

「希望のエリアに土地が出てこない」「出てきたとしても建築条件付き」「良いと思える土地はかなり高い」など土地探しの悩みを抱えている人が札幌市内には少なくとも『1,000組以上』はいると思います、本当に大袈裟ではなく。

土地探しって本当につらいですね。毎日ネットの情報を見ているけど、いい土地情報も全然出てこないし、問合せしても既に申込済み。現実は本当に厳しい、つらい。

この状況をなんとか打開したいと「ネットで探していても見つからないなら、不動産屋に相談しに行ってみようかな?」「良い土地が出たら、ネットに載せる前に優先的に紹介してもらえるかも?」と不動産屋に行くことを考える人もいます。

私もよく「不動産屋に行った方が良いでしょうか?」と、お客様から相談されるのですが、それに対する私の回答はいつもこうです。

ほぼ意味ないですよ

残念ですが、ほぼ意味ないと思います。

ネットで探すだけの“待ち”の姿勢でなく、できるだけ多くの不動産屋に行くなど、積極的に行動することで可能性が上がるのは間違いありません。

とはいえ、その可能性は、ほぼゼロに近い数パーセントだけUPするイメージです。

実際に今まで不動産屋さんに行った人を何人も見てきましたが、その行動により良い土地を買えた人を私は見たことがありません。

行ったとしても既にネットで見たことがある土地が1~2回メールで送られてくる程度で、あなたが想像しているような対応をしてくれる業者は、ほとんどいません。

あなたはお客様のハズなのに…何故、そんな対応しかしてくれないのか?理由、説明していきますね。

不動産屋の仕事とは?

客観的に考えると、不動産屋さんの仕事は「不動産を売りたい人」「不動産を買いたい人」をマッチングさせるのが仕事です。

ということは「売りたい人」「買いたい人」それぞれが『お客様』だと思われがちです。商売をする上で『お客様』を集客すること、見つけることは大切な仕事ですね。

しかし実は、不動産屋のメインの仕事は「不動産を売りたい人を見つけること」「売れる不動産(以下、土地)を探すこと」これがメインなのです。

残念ながら「土地を探している人」「買いたい人」を不動産屋は求めていません。その理由は「いい土地を見つければ、買いたい人は自然と現れる」ということがわかっているからです。

あなたを含め、ネットで毎日土地情報を探している人は本当にたくさんいます。家を建てたい人だけではなく「自分のお客様に土地を紹介したい!」「建築条件付きの土地として売りたい!」と考えている住宅会社の営業マンや、土地を安く仕入れて高く売ろうと考えているプロも多数です。

そのため、不動産屋は土地を買いたい人をわざわざ見つける必要はないのです。もちろん売買契約をする上で買いたい人は必要なのですが、買いたい人を探す時間を割く必要はないということですね。

希望条件に合う土地は出ない

また、買いたい人が探しているエリアや、希望条件で都合よく土地情報は出てきません。

例えば、あなたの希望条件が「①予算1,800万円」「②土地の広さが50坪以上」「③前面道路は8m以上」「④地下鉄南北線・真駒内駅徒歩15分」だとしましょう。

不動産屋さんが土地を探してくれた結果、「①販売金額2,200万円(400万円もアップする)」「②広さは60坪(もう少し小さくて良いのに)」「③前面道路は8m(OK)」「④地下鉄南北線・真駒内駅までは徒歩22分だが自衛隊前駅まで徒歩14分」こんな土地を見つけてきてくれたとします。

この時、多くの人の回答は「400万円も高いのは厳しい…」「真駒内までは22分か…」「条件と合わないので見送ります…」となるのですが、

一方、この時の不動産屋さんの心理としては「そんな条件に合う土地なんて出ないよ」「この物件もネットに出せばすぐ売れるし」「(あなたの為に)探すの、面倒くせーなぁ」こんな感じになります。

前述の通り、買いたい人はネットに載せておけば勝手に現れる世の中ですし、あなたの為に時間を使って土地を探しても買ってくれる保障はありません。

あなたの為だけに土地を探すのは時間の無駄だと思う担当者がほとんどなのです。

要するに『あなたのためだけに土地を探してもメリットがない』ということです。

優先順位の低いお客様

「自分のために土地を探してくれないのはわかったけど、土地情報が出たら優先的に紹介してもらえるよう、お願いしておくのも意味がありませんか?」こんなご質問もいただきます。

結論から言えば、優先的に紹介してもらえる可能性も低いでしょうね。理由を簡潔に言えば、こちらも「優先的に紹介するメリットがない」からです。

例えば、1,500万円の土地を売買する際に不動産屋が得られる仲介手数料は、上限が561,000円(税込)と決まっています。あなたに売っても561,000円、違う人に売っても561,000円です。それなら優先的に紹介してくれる可能性もあるのでは?と思われるかもしれません。

しかし、仲介料は誰に売っても同じですが、仲介手数料以外にも不動産屋にメリットがある販売先やハウスメーカーもあるのです。

例えば「ハウスメーカーに恩を売っておいて、ハウスメーカーが売りたい物件がある時に売らせて(仲介させて)もらえるようにする」とか。

他にも「すすきのの高級店で接待してくれる」「仲介料以外にワイロをくれる」「ゴルフに一緒に行く仲良しの販売先」などなど、こんな感じです。

また一般消費者が土地を買うとき、ほとんどの人が住宅ローンを使いますが「住宅ローンの審査が通るかどうか?」も不動産屋としては気になるポイントです。

もしローン審査がNGになった場合、特約により契約が白紙解除されます。※融資特約:ローンが通らなかった場合に無条件で解約ができる特約がつきます

一方、ハウスメーカーや資産家が相手なら「現金で買うので契約撤回はありません」という不動産屋にとって非常にありがたい提案をしてくれる場合もあります。

このようなことからも、良い土地情報は基本的に優先的に紹介してもらえないと考えておいたほうが良いですね。

不動産屋さんも商売ですから、自分たちの利益が多い販売先を選ぶのは当然です。

やれることは他にある

結論として、不動産屋に土地探しのために相談に行くことはあまりオススメしません。100%意味がないわけではありませんが、時間や労力に対して得られる効果がとても少ないからです。

それより家計改善や支出の見直しをして、土地の予算を上げられる努力をした方が、よっぽど買える確率は上がると思います。

多くの人が当初予算よりも200~300万円高い土地を買うことになっていますから、この考えは大切だと思いますね。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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