2023年、住宅業界を一言でいえば「不況」です。
住宅購入費は、ここ10年程ずっと右肩上がり。
コロナ禍で木材の価格が爆上がりした「ウッドショック」は記憶に新しいですね。
今までの購入検討者は「買いたい時が買い時である」「来年以降に価格が下がる保証はない」ことを理解し、仕方なくという感じでマイホームを買う決断をされてきました。
しかし、どうやら2023年は様子が違うようです。
卵や光熱費を含む生活必需品の物価上昇が大きく影響し、日々の生活にすら余裕がなく、先行きの見えない状況。
「こんな状況でこんなに高い家、買えない」「今は買い時ではない」と市場は冷え込んだままのようです。
気持ちは十分にわかりますね。
目先の生活すらままならない状況では、数千万円の住宅ローンを組んでまでマイホームを買う人も減少するでしょう。
この状況が2024年も継続するのかどうかはわかりません。
期待はできませんが給与が上昇し、建築価格を含む物価が下がればマイホーム購入マインドは復活するかもしれません。
2023年と同じ傾向が継続すれば、ますますマイホーム購入検討者は少なくなるでしょう。
見出し
本当に今は買い時ではない?
一般的に「買い時」とは「人生における買い時」「経済的な買い時」の2種類があります。
「人生における買い時」とは、
- 結婚をした
- 子どもが生まれた
- 転勤族だったが地元に戻ってきた
- 働き方や収入状況が大きい変化した
こういったことかなと思います。日本経済や不動産市況などは関係なく、個人それぞれの事情が大きく左右しますね。
一方で「経済的な買い時」を一般的に定義すれば、
- 土地が安い
- 建築費が安い
- 金利が低い
ざっくり言えば「安く買えるタイミング」と言えます。
誰しも「できるだけ安く買いたい」と考えるのは当然ですが、それをドンピシャでわかる人はいません。
多くの人が気にしているこの「経済的な買い時」なのかについて、私にも正確な予想はつきませんが・・・おそらくこうなるのではと想像しています。
土地の価格は?
今まで上昇を続けてきた札幌市、札幌市近郊の土地価格ですが、一旦落ち着いた様相です。※ラピダスの半導体工場ができる千歳市エリア近辺を除く
購入者が少なく、土地の供給数(在庫)も増え、これからは下落も考えられるでしょう。
ただ札幌市内の土地、すべてが下落するかと言えばそんなことはありません。
札幌市中心部や地下鉄・JR沿線は「高騰」「横ばい」の状況が継続すると予想しています。
利用目的が戸建て住宅だけではなく、商業や賃貸、インバウンド需要も見込めるエリアで、郊外と比べて需要が引き続き高いためです。
一方で「戸建て住宅用地」としての利用が主である郊外(地下鉄・JRまで徒歩30分以上)エリアは、昨今の戸建て不況によって下落傾向になると思います。
ただ下がるとはいえ、1坪あたり1万円~2万円程度でトータル50万円~100万円程度がいいところかと予想しています。
まとめると、
- 札幌市中心部の土地は「高騰」
- 地下鉄沿線の土地は「横ばい」
- 郊外(地下鉄・JRまで徒歩30分以上)は「若干下落」
と予想します。
建築価格は?
正直、期待できないと思います。
住宅業界に13年程いますが、過去、一度値上がりした建築価格が下落したのを見たことがありません。
一度値上げしたものを値下げする(利益率を低下させる)ことを一般的に企業はしません。
利益確保をし、不測の事態に備えるための内部留保金を増やして、従業員の給与アップを優先させると思います。
そもそも、現時点で建材メーカーや住宅会社はもっと利益を取りたいと思っているはずですが、それだと本当に建築価格が爆上がりしてしまう為、利益を削って頑張っている状況だと思います。
ただ住宅業界全体としてではなく、一部の経営がひっ迫した建築業者が、目先の薄利を追うために価格勝負をする可能性はありますね。
ただ、そういった企業で建てると企業自体の存続が怪しいですから、アフターメンテナンスや手抜き工事など含めて怖さはあるでしょう。
金利は?
変動金利前提での話をしますが、金利は「ほぼ底値」状態です。
ネット銀行を含めて、最安だと0.2%台の銀行も出ており、銀行として住宅ローンでの利益がほぼない状態です。
今後、金利がさらに下がったとしても0.01%~0.05%の範囲内が関の山で、月々の支払額に大きな影響を与えるほどではないでしょう。
むしろ下がりすぎた金利が、いつ上昇局面に移行してもおかしくはないと思いますね。
住居費の損失を加味する
以上のように土地を含めた建築費は、やや下がる可能性があります。
もし下がる可能性があるなら、1年程度、計画を先送りしてもよいと思われる人もいるでしょう。
ただ注意点としては、土地代金、建物代金、金利動向にだけ目を向けるのではなく「現在支払っている住居費」にも目を向けて買い時なのか検討するべきですね。
例えば、現在8万円の家賃の賃貸マンションに住んでいる場合、年間96万円の住居費がかかっています。
この状況で仮に2023年(今)、4,500万円のマイホームを購入したとしましょう。
この時点で生涯の住居費は4,500万円と確定します。※メンテナンス費や金利を加味せず
一方で2023年は賃貸マンションに住み、2024年に4,500万円のマイホームを購入した場合、
「賃貸96万円+マイホーム4,500万円=4,596万円」
と賃貸マンションに住んでいる期間分の住居費が多くなることになります。
- 来年以降、確実に建築費が下がる確証がある
- 来年以降、もらえる補助金が拡充される(※現在予定なし)
- 例えば「社宅暮らし」で、現状ほぼ住居費がかかっていない
このような状況なら購入時期を検討するのも一つかもしれませんが、それまでにかかる住居費が多大になる場合は、早くマイホームを購入してしまうのも一つの選択肢です。
「買い時ではない」とは言い切れない
まとめると
- 場所によって土地価格は下がる可能性あり
- 建築費が大きく下がるのは見込めない
- 現在の住居費も加味して買い時を探る
- 人によっては今が買い時となる可能性も
結論、今は「買い時ではない」とは言い切れない。
こんな感じでしょうか。
住宅業界、不動産業界にどっぷり浸かっている私でも、今後のことは正確に見通しできません。
だからこそ買うタイミングの正解は、前述した「人生における買い時」と「経済的な買い時」を自分自身で納得できたタイミングなのでしょう。
また「人生における買い時」を図る上で、人生における大きなお金の流れを知っておくことも大切です。
いつ、どのくらい、収入が増える可能性があり、大きな支出が控えているか、しっかりと貯金をすることができているか・・・
こういった未来のお金の流れを掴かみ、「今後の人生において今買っても問題ないタイミングである」と知っておくということです。
当事務所の「あんしんマイホーム資金計画書」サービスを利用していただければ、こういったお金の流れを掴むことができるだけではなく、購入しても問題のない住宅予算を明確にすることもできます。
来るべき買い時を逃さないためにも、計画的にこちらのサービスをご利用いただければと思います。
保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。