住宅ローン『ボーナス払い』はダメなのか?

私が最も得意とする分野は、もちろん『住宅ローン』の相談業務になります。

「変動金利、固定金利どちらが良い?」「現金は入れた方が良い?」「繰上げ返済はした方が良い?」などです。

そしてタイトルの通り『ボーナス返済も考えているのですが、どう思いますか?』この質問も多いですね。

ボーナス払いとは毎月の返済とは別に、ボーナス時にもローンの返済をおこなう仕組み。ボーナス払いを活用することで毎月の返済負担を減らすことができます。

早速ですが結論です。

どっちでも良い

私の回答は『どっちでも良い』です。適当に聞こえてしまうかもしれませんが・・・

まず「ボーナス払いを使うべきか?」を聞いてくる人の意図として『ボーナス払いはお得なの?損なの?』という趣旨があると思います。

例えば、4,000万円を35年固定金利1%にてボーナス払いを利用しない場合は『月々:112,914円』で、これに12をかけると『年間:1,354,968円…A』となります。

一方で『101,799円×2(夏と冬のボーナス)』を入れた場合は『月々:95,977円』で『年間1,355,322円…B』となります。

AとBの差額は354円でボーナス払いを含む方が高くなります。とはいえ年間350円程度、35年で考えても約12,000円の差です。

と、いうことでボーナス払いを使っても使わなくてもほとんど差はありません。さほど気にする金額ではないのかなと思います。

どちらかといえば…

とはいえ、どちらかと言うと『ボーナス払いナシ』をお薦めすることが多いです。

その大きな理由は2つ。一つ目は、貯蓄がしやすい仕組みが作りやすいと私は思っているからです。

「ボーナスには手を付けずに全額貯金しよう」と制限をつけるが「代わりに毎月の給料は、自由に使いきってOKにしよう!」などメリハリをつけることで、お金の管理もしやすくなると思います。

この方法なら毎月の給料を使いきってしまうことに罪悪感やストレスを感じづらく、お金の管理もしやすくなります。

ボーナスが出ない

良く理解していると思いますが、ボーナスは出て当たり前ではありません。

今の時代、上場企業や有名な会社だからといって、安泰な時代では無くなってしまいました。

業績も右肩上がりの企業は珍しくボーナスが減額されたり、一切出なくなってしまうということもあるでしょう。

そんな時に『ボーナス払い』を利用していたと想像してみてください。かなり厳しい状況に陥ってしまうことが想像できると思います。

やはりボーナスについては『臨時収入』、または『金額が上下して当然のもの』という認識を今から持つことが無難でしょう。もしボーナスが出ればラッキー!この感覚ですね。

こんな感じでボーナス払いを利用してもしなくても損得はさほどありませんが、それでも極力『活用しない』選択の方がメリットはあるかと私は考えています。

ただ、家庭によっては年収に占めるボーナス比率が高く、どうしても月々の収入だけでは月単位でマイナスになってしまう家庭もあるでしょう。

「先月も今月も赤字。もうイヤ…」こうなると心理的な悪影響がある恐れもあります。

そういった場合などは、ボーナス払いも検討するべきでしょう。

結局は、家庭毎の収入や貯蓄計画と照らし合わせて、その家庭にベストな借り方をするということに尽きるのです。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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