住宅ローン、変動金利を選ぶべきか?

「変動と固定、どっちが良いですか?」

住宅ローンの金利タイプを選ぶにあたり、めちゃくちゃよく聞かれる質問です。

この質問を別の言葉に変換すると、「これから金利が上がる、上がらない?」 となるわけですが・・・

結論、そんなことわかりません(笑)

「いやいや、プロでしょ?」なんて事を言う人もいるかもしれませんが、『未来のこと』は誰にもわかりません。著名な経済評論家、日本一優秀なFP、さらには日銀総裁、内閣総理大臣でさえ、1年後のことならまだしも、5年、10年、20年後のことなんてわかりませんよ。

それがわかれば、苦労はないのです。

だからこそ、「家庭に合わせて」「時代に合わせて」「状況に合わせて」“ベター”な選択肢を選んでいくのがあなたに“ベスト”な選択肢なのです。

金利の上がらない保険

固定金利の住宅ローンは、「金利が上がらない保険」がついている住宅ローンと言い換えることができます。

逆に、変動金利の住宅ローンは「金利が上がるリスクを自分が背負う」住宅ローンということ。

変動に比べ、固定は金利が高いですが、その金利差は『保険料』ということです。

結論、この保険料を支払うかどうか?っていう話です。選ぶ、選ばないはあなた次第です、この保険は「任意」ですからね。

民間の生命保険や医療保険にも同じことが言えますが、当然ながら『保険とは必ず入らないといけないもの』ではありません。

私は保険の取扱いができる資格を2019年11月まで持っていた保険のプロですが、自分自身の生命保険、医療保険にはひとつも加入していません。

保険に頼らなくても万が一の場合に備える“他の方法”を自分が持っているからです。

一番わかりやすい例は、『貯金』です。さらに『社会保険』も手厚いですし、あえて民間保険に加入する必要もないというのが私の考えです。

保険はあくまでも『手段』であり、 加入を『目的』とするものではありません。保険に入っていないから危険、保険に入っているから安心ではないのです。

保険以外の“手段”を持っていれば、保険という手段に頼る必要はありません。

金利上昇への対策方法

ここで話を住宅ローンに戻します。もし金利が上昇していった場合に、あなたが保険という手段を使わなければいけないなら、金利上昇がしない保険付き住宅ローン、つまり【固定金利】を選ぶべきです。

逆に金利が上がっても自力で対応可能なら保険がついていない【変動金利】を選んで大丈夫ということです。

具体的に対策方法は2つ。

一つは、いくら金利が上がろうが、支払っていけるだけの家計状況の場合です。例えば、現在の支払いが毎月10万円で、金利が上がり毎月12万円になろうとも痛くもかゆくもない家計の場合です。こういった家計、財力のある家庭ならあえてガチガチに保守的な固定金利を選択する必要はないかもしれません。

もう一つは貯金をガッチリしている場合。金利が上昇し、無駄な利息を払っていると思ったら、一括で繰り上げ返済することができますからね。

このいずれかの条件に当てはまる人は、あえて固定金利を選択する必要はないと私は思います。

ただ、それ以外にも『年齢』『職業』『税金』『資産運用』『団体信用生命保険』『民間で加入している保険』など、様々な要素を考慮し、ベストな住宅ローンの借り方を検討していく必要はあります。

住宅ローン選びは想像以上に難しい問題。安易に見た目の金利の低さで変動金利を選んでしまっては、将来、大きな損失を出してしまう可能性もあります。逆にいえば、しっかり勉強をして少しでも良い選択ができたなら、その効果・見返りはとても大きいものです。少しでもベターな選択ができるよう、ベストを尽くすようにしましょう。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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