「40年返済だと?完済年齢は75歳を超えるんだぞ?その返済計画はありえない。退職後も住宅ローンを返していくなんて。本当に大丈夫なのか?」
こんな感じで、住宅ローンを借りようと思った時に両親から心配される家庭がたくさんいます。
最近、住宅ローンの返済期間を「40年」で計画している方が多くなってきました。
住宅ローンの返済年数は色々な選択肢がありますが、これまでは『35年』で申込む人が一番多かったと思います。
フラット35という商品もあることから「35年返済」というのが定着している感じもありますしね。
そんな中、プラス5年間の40年返済。この40年返済を選択する人が増えた原因が2つあります。
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40年返済OKの銀行登場
1つ目は、40年返済が可能な銀行の登場。
そもそも今までは40年返済という選択肢がなかったわけです。
そこに「当行は40年返済も可能です」と選択肢ができたわけですから、選ぶ人が出てきても変ではありません。
住宅価格の高騰
そして2つ目は、住宅購入価格の上昇です。
10年前は3,000万円で買えた注文住宅が、5年前には3,500万出さないと買えなくなり、今では4,000万円以上出さないと買えなくなってしまいました。
3,500万を金利0.9%、35年払いなら月々の支払いは97,177円と「10万円」の大台を超えませんが、
4,000万を金利0.9%、35年払いとなると月々の支払いは111,059円となり、大台を超えることになります。
その差は約14,000円ですが、心理的にいきなりハードルが上がるのは想像できるのではないでしょうか?
これを40年返済にすると「99,262円」と10万円の大台を超えずに済みます。
家を売る立場の住宅営業マンとしても10万円「以上」と「以下」では、お客さんに与える印象は全く変わりますから、お客さんが買いやすい心理になるよう40年返済を提案するのでしょう。
この40年返済、本当に大丈夫でしょうか?
返済年数の正解
結論として住宅ローンはより短い期間、例えば「25年」「20年」といった年数で組むべきなのでしょうか?
実はFPの中でもかなり意見が分かれます。定年退職や65歳までに返済できる期間で借りることを推奨するFPもいます。
しかし、私は必ずしもそうとは思いません。
確かに理想は、早く返済し終わることに越したことはないかもしれません。
ただ、現実的には晩婚化の影響もあり住宅取得年齢も上がっていますし、無理に短期間で返済してしまおうとすると日々の生活がカツカツになってしまいます。
・住宅ローンを組む時の年齢
・家計状況、支出がいくらあるのか
・今後の夫婦の働き方、収入増加見込み
・現在の貯蓄額
・マイホームの購入金額
・現在加入中の民間生命保険内容
・団体信用生命保険の選び方
・資産運用についての考え方
など、返済年数はたくさんの要素を含めて考えなければならないものになります。
退職までに貯金をしっかりしておき、年金生活になった後もしっかり貯金からローン返済ができる状態であれば、無理して65歳までにキツキツで支払いをしないといけない訳でもありません。
結論、私の意見としては「返済年数は短ければよい訳ではない」と思っています。
とはいえ、長い方が良い訳でもない。やはりその家庭の事情によってです、難しいですよね。
こんな人は40年返済
では私の場合、どのような家庭になら30年や35年といった返済年数ではなく「40年返済」を勧めるのか?
答えは「今は貯金に余裕がないが、5年後には貯金ができている見込み」このような家庭には、40年返済も選択肢のひとつとしてオススメするでしょう。
30年や35年返済よりも40年返済の方が、支払利息は多くなってしまうデメリットがあるものの、前述でふれたように毎月支払う金額は数万円程度抑えることができます。
その瞬間(期間)だけを切り取ると支出が減るということですね。
人生においては「お金がたまるタイミング」「お金がたまらないタイミング」この2つがあります。
お金が貯まらないタイミングの最たる例は「子供が大学入学するタイミング」となるわけですが、それ以外にも「育休、産休中で収入が減っている」「出産を期に共働きをやめた」といった出産のタイミングもあります。
また「結婚や出産を期に車を買ったとき」「奨学金の返済中でもう少しで払い終わる」こんなタイミングもお金が貯まらない、貯金が一時的に減るタイミングになります。
上記に当てはまる人は、逆の言い方をすると「育休が終わり復職すれば貯金できる」「今後大きな出費がないので貯金できる」「奨学金を完済すれば貯金できるようになる」など、このように近い将来、お金が貯まる家計に変化する可能性があります。
人生において今、上記に該当している人は「一旦40年返済でローンを組む→収入が増えたり貯金が貯まってきたら→その後の支出を考えつつ→繰り上げ返済→最終的には期間を40年から35年へ短縮」こんな返済計画を考えるのもアリでしょう。
この戦略は、しっかり自分たちの人生設計や、収入と支出がどのように推移していくかを把握していなければ選択できません。
やはり将来の収入と支出、貯蓄額の推移、これらのライフプランを作成してから判断をしなければ、適切な住宅ローン返済方法を導き出すことは難しいということですね。
出口戦略も大切
「とりあえず返済が厳しそうだから、返済年数を増やして、返済を後回しにしてしまおう」というのはヤバイ考えです。
今だけを見た判断ではなく、いわゆる「出口戦略」までを考えた上で40年返済を選択するなら私は大賛成です。
適正な住宅ローンの借り方は、家庭ごとに全く違うものですからね。
返済年数を悩んでいる人は、今日の話を参考にしてみてください。
保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。