将来、売りやすい中古物件を考える

よく言われていることですが、Z世代と呼ばれる若い人は「所有からシェア」へ考えが移行しているそうですね。

車は買わずに「カーシェアリング」、服も買わずに「サブスクで借り放題」、家も買わずに「賃貸でOKだよね」みたいな感じです。

ハウスメーカーも「これからの若者には家が売れなくなる」という危機感があるみたいです。

個人的には売れなくなることはないと思いますが、「中古で満足する」「将来、売れるものを買う」みたいな発想にはなるだろうと思っています。

学生の時から、中古品を安く購入して利用する文化が染み付いているのですから、大人になってマイホームを買うときも「中古で安いものがあるなら、そっちで全然いいよね?」「むしろ高い新築を買う意味がわからない」みたいになるのも当然かと思います。

また一旦所有したものを「メルカリ」のようなプラットフォームを使い、個人間で売買することも当たり前になってきています。

家、土地などの不動産売買もジモティなら個人間売買が可能です。

このようなリセール思考、インフラが一般的になってくると「将来的に売ること」を前提としてマイホームを買う人も増えてくるでしょう。

Z世代は、服やデジタル機器でも「後々、売れる商品を買う」傾向みたいです。

売れる中古物件とは

将来的に売れる中古物件とは、具体的にどのような物件でしょうか?

「将来的に売れる」を言い換えると「数年後でも需要が高い物件」ということになると思います。

現時点で土地の価値が高いエリアは、将来的にも需要が高いと予想できますが、具体的なエリアは働き方や時代の変化によって変わるので正確にはわかりません。

リモートワーク等の働き方の変化、商業施設の完成、地下鉄やJR駅の延伸・・・札幌近郊においては、ベースボールパークの影響で北広島市に人や企業が集まりそうです。

どの市町村の価値が上がる・下がるは検討がつきませんが、建物は「使いやすい」「利便性のよい」「つまり魅力的」であれば、将来的にも買い手は見つかると思います。

使いやすい間取り

“使いやすい家”とは人それぞれ違うと思いますが、多くの人が使いやすい『間取り』について考えたいと思います。

私は10年以上、注文住宅に携わっていますが、約70%の家族が同じような間取りを希望されます。

・リビングは1階がいい

・リビング横に普段は開放しておけて来客時には仕切れる部屋が欲しい

・お風呂、洗面所も1階でキッチンの近く(家事動線がいい)

・シューズインクローゼットが欲しい

・2階には寝室、子供部屋×2、3帖くらいのウォークインクローゼット、そして書斎

こんな感じの4LDKですね。

老後を考えて、最悪の場合は2階に上がる必要のない家。老後は客間で寝ますスタイル。

多くの人がこの間取りを使い勝手が良い、長く生活していく上でベストと考えられています。

その証拠に、建売住宅の70%以上がこのような間取りになっていていますからね。

建売住宅は間取りの変更ができませんから、多くの人に気に入ってもらう間取りである必要があります。

間取りが気に入られないと、いくら土地や価格が魅力的でも売れませんからね。

2階リビングや3階建ての家、4人家族には広すぎる家、段差の多いスキップフロアの家などは、将来的にも敬遠されるでしょう。

いわゆる最大公約数の間取りで、70~80%の人に嫌われない間取りの方が、高値で購入してくれる買い手が見つかる可能性は高くなるでしょう。

リノベしやすい物件

徐々に認知の広がってきたリノベーション。

リフォームは元通り(現状回復)ですが、リノベーションは当時に家よりも進化させるという意味があります。

間取りを大幅に変更したり、建物や屋根の形状の変更も可能です。

リノベーションは新築と比べて総額を抑えることもできますし、しっかりした業者を選定して依頼できれば、新築以上の性能にすることも可能です。

注意点としては、リノベーションをする上で、「鉄骨造・コンクリート造・2×4工法」これらの構造で建てられた家よりも「木造在来工法」で建てられた家の方がリノベーションしやすいという点です。

詳しくは割愛しますが木造在来工法は、柱や梁の掛け合わせで骨組みを作るため、将来リノベーションをする際の自由度が高まります。

リノベーションを検討する人が「こんな間取りにしたい!」と思った時に、在来工法で建てられた家の方が希望を叶えられる可能性が高いということです。

鉄骨造やコンクリート造だと建物形状を変更するのが難しかったり、2×4工法だと「ここの壁をなくしたいが構造的に無理」となる可能性があります。

「この物件を買いたいと思ったけど、希望の間取りにリノベーションできないから辞めます」みたいなことが発生するということです。

現在は前述のような間取りが人気ですが、将来的にどのような間取りがトレンドになるかわかりません。

リノベーション対応が簡単にできる建物を選んでおく方が良いかなと思います。

安ければ売れる

結局のところ、全てのものは値付けによって売れる、売れないが決まります。

市場は正直であり、高いものは買われませんし、安いものには人が集まります。

そのため値段さえ下げることができれば「全然売れなくて困る」という状況にはならないと思います。

気をつけてほしいのは、現時点から安易に「自分の希望価格(想定通り)で売れる」と思い込まないことですね。

よく「このマンションならローンの支払が厳しくなったら売れるだろうから、問題ない」という考えをもっている人を見かけますが、それは希望通りの金額で売れればって話です。

世の中、そんなに甘くはありません。

安易に売ればOK的な考えで計画を進めていくのは危険すぎます。

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これから購入を検討されている方は、今回の記事のような「売るときのことを考えた」購入を検討してみてみることもオススメです。

新松 尊英
札幌住まいのFP相談窓口代表。札幌で住宅会社の営業マンとして働いた後、中立的な第三者立場から住宅購入の相談ができる仕組みを確立するために独立。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。

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