今回は少し違う視点でお役立ち情報を書いてみます。
読者参加型で5つの簡単なクイズを出します。
問題の内容は同じで、
「どちらのご家庭の方が住宅購入予算を高くすることができるでしょう?」
言い換えると、
「多くのローンを返済することができるのは、どちらのご家族でしょう?」
という問題です。
おそらくほとんどの人が正解できる内容になっていますので、気を張らずに読み進めてみてくださいね。
見出し
第1問
- 年収600万円の30歳のサラリーマン家庭
- 年収600万円の45歳のサラリーマン家庭
年齢以外はすべて同じ条件、奥様は専業主婦としましょう。
さて、どちらのご家族の方が住宅購入予算を高く設定することができるでしょう。
第2問
- 子供がおらず、今後も出産を考えていない夫婦
- 小学生未満の子供が2人おり、もう1人出産を考えている夫婦
年収も年齢も同じ。違うのはお子様の有無や出産希望についてのみ。
さて、どちらのご家族の方が住宅購入予算を高く設定することができるでしょう。
第3問
- 現在の貯金額は800万円くらい
- 現在の貯金は…ほとんどない
その他条件は年齢、年収、ご家族構成まで全部同じ。
さて、どちらのご家族の方が住宅購入予算を高く設定することができるでしょう。
第4問
- 夫婦ともに特に趣味はなく、自宅でゆっくりするのが幸せと感じている夫婦
- ご主人は車が趣味、奥様は海外旅行が趣味、という夫婦
その他の条件はすべて同じ。
さて、どちらのご家族の方が住宅購入予算を高く設定することができるでしょう。
第5問
- ご主人の年収が500万円、奥様の年収が500万円、世帯年収合計1,000万円の夫婦
- ご主人の年収が1,000万円、奥様が専業主婦で収入なし、世帯年収合計が1,000万円の夫婦
違うのは共働きか単独収入かのみ。世帯年収はどちらも同じ1,000万円。その他の条件はすべて同じ。
さて、どちらのご家族の方が住宅購入予算を高く設定することができるでしょう。
答えはすべて【A】
それぞれの問題について、簡単に解説をしていきます。
第1問『年齢』の違い
年齢が違うということは、言い換えると、これから退職までに稼ぐことができるお金が違うということです。
仮に定年退職が60歳の場合、Aさんは30年×600万円=1億8000万円を稼ぐことができるのに対し、Bさんは15年×600万円=9,000万円と半分の収入となってしまいます。
そこから日々の生活費等を除外して、住宅購入予算を割り出すと考えると、圧倒的にAさんの方が住宅購入予算に多くの資金を充てられることがわかります。
第2問『家族構成』の違い
お子様がいない、その後の出産も希望しないご夫婦の場合、これからの人生において『子育て費用』や『教育費』がかかりません。
一方で出産予定を含めて3人の子供がいるなら、当然、3人分の教育費がかかってくることになります。
教育方針や進学先の選定、奨学金の利用などによって、どれだけ教育費がかかるかは様々ですが、一般的には『ひとりあたり1,000万円~1,300万円程度』の教育費がかかる見込みです。
第3問『資産状況』の違い
貯金や運用している資産等があれば、それを頭金とすることもできますし、ローン返済に充てることもできます。
ここについては、これ以上、説明不要でしょう。
第4問『支出』の違い
第4問は、趣味や日々の支出についての違いですね。
例えば、『車や旅行に年間50万円使う家族』と『車も所有せず、旅行にもいかず、家で音楽を聴きながら本を読むのが趣味という家族』では、支出額に大きな違いが出てくるでしょう。
どちらが良い、悪いの問題ではありません。
それぞれのご家族にとって「幸福感」「楽しいこと」「生き方・暮らし方」が違うので『お金の使い方、使いどころ』も違ってくるよね?ということです。
第5問『手取り収入』の違い
簡潔にいうと、社会保険料、超過累進課税の影響を含めて考えると、Aさん夫婦の方が手取り合計(手取り)が約50万円多い計算になります。
年収が高い人は、多くの社会保険料、高い税率が適用されるため、手取りが少なくなってしまうということです。
「同じ世帯年収1,000万円なのにおかしい!」と思われる人もいるかもしれませんが、現在の日本の制度ではこのような結果になるのです。
本日の学び
さて、この5問のクイズで何を伝えたいのか、わかりますでしょうか。
要するに、年齢や家族構成、子育てや教育方針、趣味、様々な家庭ごとの要因によって、適切な住宅購入予算は変わりますよということです。
「年収の7倍までならローンを借りても大丈夫」「年収の30%までなら年間のローン返済は問題ない」みたいな話がありますが、
- 年齢によって違うよね
- 家族構成によって違うよね
- 貯金がいくらあるかによっても違うよね
- マイホーム以外にかけたいお金によっても違うよね
- 年収によって手取りは変わるんだから、せめて手取りを基準に考えないとダメだよね
こういうことです。
クイズの結果でもわかるように、どれだけ「年収の7倍…」「年収の30%まで…」がいい加減で、曖昧で、適当なのかがわかるかなと思います。
それなのに、住宅購入をするほとんどの人が「年収の7倍までなら大丈夫なはず…」「年収の30%以内だから大丈夫なはず…」と、デタラメな基準で借入金額を決めてしまっているのです。
ライフプラン以外、適切な予算はわからない
FPという立場から言えることとして、適正な住宅購入予算を把握するためには、ライフプラン(当事務所でいう「あんしんマイホーム資金計画書」)を作成する以外に方法はありません。
人それぞれ、使うお金も違えば、生活背景も違いますし、人生設計が違うのですから、これは当然です。
年収だけで判断できるものではありません。
付け加えて「年収が高ければ問題なし」「年収が低いから家は買えない…」ということでもありません。
大切なのは収入と支出のバランスで、これを現在だけではなく、将来的にも問題ないのかを確かめることが大切です。
事実として、年収2,000万円のお医者様でさえも、年収2,500万円の人のようなお金の使い方、マイホーム購入をしてしまうと、後々生活が厳しくなってしまいます。
逆に年収が少ないとしても、それに見合った支出や住宅購入ができれば、まったく問題ありません。
自分に本当に適したマイホーム購入予算はいくらなのか?
それをしっかりと把握してから、マイホーム購入計画をスタートさせることを心からおすすめします。

保険や住宅を売ることを目的にせず、有料で相談を受けている住宅購入専門のファイナンシャルプランナー。そのスタイルが支持され、札幌市近郊を中心に累計1,000件以上の住宅コンサルティングをおこなっている。